第10話 それぞれの夜ひとつの夜

陸「お腹すいたー」

空「さっき馬鹿みたいに白飯食ってた奴の発言とは思えん」

海「空がいるから陸の分無くなっちゃったもんね」

陸「そーそー」

空「俺の分だって用意されてるだろ」

海「だけどいつもいないもん」

陸「家で飯食う時は母さんに言っときなよ。迷惑」

空「迷惑とか失礼じゃねっ!」

海「陸がただしーい」

陸「俺がただしーい」

空「結託しやがって」

海「空がこんなにも連続で家にいるのってめずらしいよね」

陸「なんでいるの?」

空「自宅にいたらおかしいのかよ」

海「まっ、別にいいよ」

陸「いいけど、母さんには言っといて。報告義務ぅ」

空「食い意地のモンスターだな」

海「昔っからだもん」

陸「明日から夏休みだな」

空「陸は部活だろ。誰かさんは暇そうでいいな」

海「暇じゃないいんだ。僕、学校に行くから」

陸「え?部活にでも入った?」

空「まじか?」

海「うん、まあそんな感じ」

陸「何部?」

空「何すんの?」

海「うん、まだ決まってないっていうか……」

陸「はあ?」

空「ばぁか」

海「リサーチだよ」

陸「ふーん」

空「陸と一緒に卓球すれば?」

海「嫌だよ」

陸「面倒看きれない」

空「それは蒼温そうまのセリフだろ」

海「蒼温そうまに感謝しなきゃね」

陸「蒼温そうまはおせっかいなだけっ」

空「そのお節介が無きゃ、朝も起きられないだろ」

海「12年間ずーっとだもんね。蒼温そうま様様~」

陸「いなくてもいいし。ふん」

空「で、海は何で部活やろうって思ったわけ?」

海「理由いらないでしょ」

陸「部活はしないって言ってたのは誰だよ。気になる。なんで?」

空「Mr.マイペース、人と群れるなんてできないっしょ」

海「それ空に言われたくない。マイペースKingキングのくせに」

陸「言えてるー。あはははは」

空「また結託しやがって」

海「あー、蹴ったなー暴力反対ー」

陸「暴力反対ー。あはははは」

空「陸、クッション投げつけるのも暴力だろっ」

海「もちちのクッションは暴力にならない」

陸「もちちらぶー」

空「なら投げんなよ。ほら」

海「もちち、空はこわいねー。よしよーし」


母「あんた達、かなり盛り上がってるけど、部屋の掃除はしたの?」


陸「まだ……」

空「やって……」

海「ない……」


母「夏休みまでに片付ける約束でしょ。約束を破ったら?」


陸「洗濯と」

空「料理と」

海「掃除を」


母「3人で夏休み分担するって言ってたわよね」


陸「はい」

空「ハイ」

海「はぁぃ」


母「明日から夏休みだけど?」


陸「今から」

空「片付け」

海「ます。」


母「だったら、今、すぐやるーーー!はいっ!」


陸「空が服を散らかしてるから母さん怒ってんじゃん」

空「違って。海の本の散らかりようが原因だろ」

海「手の付けられようのない状態なのは陸の部屋でしょ」


母「はぁ。仲が良んだか悪いんだか。ん?電話?あっ、あなたっ❤元気なの?こっちは相変わらずよ。え?いいの?あの子達はね、明日から夏休みなの。行くわー。明日の朝一の高速バスに乗るわ。うんうん。はい、おやすみー」


陸「母さん、やっぱりお腹へった。片付けてられない」

母「はいはい。今川焼レンチンするから待ってて」

陸「夏だよ母さん」

母「好きでしょ、これ」

陸「まあ、そうだけど。ありがと」


空「母さん、明日からはまた夕食、家で食べないかもしれない」

母「はいはい。最近、元気ないわね」

空「そんな事ないよ」

母「母の眼を欺くなんて10万年早いわよ。なーんてね」

空「参りました。あはは」


海「母さん、明日からも学校行くからお弁当お願いできる?」

母「いいわよって言ってあげたかったけど、さっき無理になったの」

海「どういうこと?」

母「明日からしばらく父さんの所に行ってくるわ。昼ご飯代を渡すわね」

海「え?明日から?いつもいきなりなんだから」


それぞれの夜

だけど

ひとつの夜

三色の黒が重なり

進む進む進め




母「明日の準備しなきゃ。結局あの子達には、夏休み中の家事は全部任せちゃうことになるわね。いっか❤るーるーるるるー♪」





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

三歩先の…*恋風(こいかぜ)*恋草(こいぐさ)*恋の端(こいのつま) @hasegawatomo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ