第5話 狂乱の王

 夜いつもの部屋で、わたしは眠りにつく。

 それから暫くして……。


 コンコンコン

 ノックの音で目が覚めたわたしは、自分が真っ白な部屋のベットで寝ていることに気がつく。

 壁時計は午前3時を指している。


 

 それから目の前に見えるドアが少しずつ開いていく。


 そこには男が一人。

 いつものあの男。

 白いシャツとズボン。


 わたしも真っ白な裾の長いネグリジェを着ている。


 男は言う

「そのまま聞いてください」


「王は悲しみのあまり、すっかり以前の王とは変わってしまいました。自分から愛する妃と姫を奪った世を恨み、疑心暗鬼になり、些細なことで酷い罰を課し、苦しむ様を見て昏い歓びに浸るようになりました。以前の誰からも慕われていた王様は、もうそこにはなく、人々は彼を”狂乱の王”と呼びました」


 男はそこまで話すと、お辞儀をして、それから開けた時と同じ様に、ゆっくり、静かにドアを閉めた。


 気がつくと、朝の光が差し込んでいて。


 わたしは、いつもの部屋で目を覚ましていた

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