第4話 妃の悲嘆

 夜いつもの部屋で、わたしは眠りにつく。

 それから暫くして……。


 コンコンコン

 ノックの音で目が覚めたわたしは、自分が真っ白な部屋のベットで寝ていることに気がつく。

 壁時計は午前3時を指している。


 

 また同じように目の前に見えるドアが少しずつ開いていく。


 そこには女が一人。

 あの白いドレスだ。

 髪も、まとめてあげている。


 わたしも真っ白な裾の長いネグリジェを着ている。


 女は言う

「そのまま聞いてください」


「妃は姫が帰ることを信じて待っていましたが、日に日に痩せ細り、とうとう、姫が消えてから10年目の冬、灯火が消えるように儚く逝ってしまいました。愛しい小さな姫の名を呼びながら……。国中の人々が泣きました。そしてそれ以上に、王様は気も狂わんばかりに嘆き悲しみました」


 女はそこまで話すと、お辞儀をして、それから開けた時と同じ様に、ゆっくり、静かにドアを閉めた。


 気がつくと、朝の光が差し込んでいて。


 わたしは、いつもの部屋で目を覚ましていた

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る