スマホ依存胎児アンソロ

第1話

 はやくもスマホから鼓動が鳴っている。朝充電器を鞄に入れるのを忘れてしまっていた。電源を落としてとりあえずは充電の延命をはかる。このスマホは充電を切らせてはならないし故障させてもならない。いくつかのルールは日数をおうごとにわかってはきているが、その全貌はほとんどわからない。たまたま気まぐれでインストールしたアプリ。Blue Light


 スマホ依存胎児はザケロを唱える


 普段の生活でなんとなく嫌気がさしてなんとなく眠れなくなるなんていうことは誰にでもあるとは思う。だからみんな夜な夜なベッドや布団の中でついついスマホを見てはツイッターやラインや配信サイトを見てしまう。会ったこともなければ会いたいとも思わないけど、どこかでつながっていたくて、だけどなにかの拍子に切れてしまうともう二度と触れあうことのできない、曖昧模糊とした濃霧のような世界に、それはそれでまた居心地の良さを感じていたりする。もっと深く立ち入ってしまうと衝突し合って傷つけあってしまう。誰かを攻撃するのはいいけど自分はこれっぽっちも傷つけられたくない。それがネットでは可能であるのだ。

 このアプリも深夜ツイッターのタイムラインにふっと現れた。そのふっと現れたものに眠気も混じった判断能力のないままダウンロードをしてしまった。再びツイッターをみてそのアプリのことをいった人を覗いてみるとコメントには、怖いとか、気味が悪いというのがあり、そのうちそんなアプリはない、ガセネタ、嘘つきと連なっていた。

 もう一度ダウンロードしたアプリを開く。鼓動が鳴っている。リアルな心臓音だ。しかしどこを押しても反応しない。画面には胎児のエコー写真がでている。微かに動いている。画面上部には数字が98を示している。確かさっきは100だった。ふたつ減った。と思っていたらどんどん減っていく。92にまで減った。そこからは数字は動かなくなった。

 アプリを閉じてツイッターに戻る。アプリを入れたきっかけのアカウントにいけばヒントが得られるかもしれない。しかし、そのアカウントはすでに削除されていた。ダウンロードアプリストアを検索してみた。Blue Lightと入れても違うものしかでてこない。すでに消されていた。

 そのときスマホからなにか蹴るような音がした。ポップアップでBlue Lightから知らせが来ているとのこと。

 これはウィルスにかかってしまったのかと内心思っていたが恐る恐るアプリをひらいてみた。メッセージがでた。

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