第2章 女だらけで身がもたない
第19話 みんなの平和を守りたい
4月10日、午前8時15分。
俺がこの『
「警察が
いずれ俺が本当の警察官になった時には本物の交番でこうして街の平和を見守る日がやって来るのだろうが、流石にここまで何も起こらないという事は無いだろう。
だとすれば、果たしてこれは未来のための練習となっているのだろうか。
それとも、普通の警察官では経験できない貴重な時間と思って前向きに考えるべきだろうか。
ゆっくりと流れていく平穏な時間の中で、何度同じ事を考えただろうか。
だが、その平穏な時間も間もなく一時中断を余儀なくされる。
そろそろ『奴ら』がここを通る時間だからだ。
「おっはよー、カケヤーン!」
「おはようございます、
「ああ、おはよう」
金髪ツインテールの関西弁チビ、
真面目で大人しい農業少女、
どちらも16歳の高校2年生だ。
数日前に春休みが終わり、二人とも毎朝この時間にここを通るようになった。
どうせ
「カケヤン巡査!事件であります!」
「何だ?」
「サワリンが、サワリンが不良少女になってしまいました!」
「
不良という言葉が全く似合わない
当の
「見てください!これを!!」
そう言いながら
「きゃあっ!?」
ピンク色の可愛らしい下着が
「何やってんだお前は!!」
「見ましたか、カケヤン巡査!なんとサワリンが熊さんプリントのお子様パンツを卒業してもうたんです!!この女、お子様パンツを卒業して近々処女も卒業しようと企んでいるとしか………ふげっ」
暴力が良くない事くらい承知しているが、俺は
「くだらねぇ事を言ってないで、真面目に勉強してこい!!」
「くっそぉ………サワリンのカラダを『おサワリン』してええのは
「ほ、ほら
「ああ、頑張ってな………」
あんなのが一緒でちゃんと勉強できているんだろうか。
教室までついていって監視なんてのは流石にやり過ぎだしな。
気にはなるが、いつまでも
面倒が一つ去った後には次の面倒がやって来るからだ。
少し前に
その二人は数メートル先から何か激しく口論をしている様子で、互いに声を張り上げながらこちらに近づいてくる。
そしてそのまま俺の前を通過して通り過ぎてくれればいいのに、わざわざご丁寧に俺の前で歩みを止めて口論を続けるのだ。
「だからぁ、私は『毛』は描かない派だって言ってるでしょ!!」
「子供じゃないんだから、そんなツルッツルの大人ばかりいるわけ無いでしょ!?むしろ『毛』を描く事によってリアルな雰囲気を生み出す事が………」
俺をここに
グラビアアイドル並みのスタイルをもち、
「何だお前らは。また俺に新作コントを見せに来たのか」
「新作コントって何よ!そんなんじゃないわよ!!」
「なら芸人みたいに
「ごめんね。どうしても
「俺のマイクって………指を差すな!」
「大体、コントじゃないなら何でお前らまで
「いやぁ~、今描いてる作品の舞台が高校なもので………」
「どう?似合ってる?」
「………それと!何でわざわざ俺の前でその茶番を披露する必要があるんだ」
「もちろん理由はあるわよ。ほら、お巡りさんは市民のお悩みを聞くのもお仕事でしょ?」
「そうか、お悩み相談なら仕方ないな。どんな悩みなんだ?」
すると
「実はぁ~、最近~、自分の指じゃ満足できなくなってきたの。どうしたらいいと思う?」
「………は?」
「だからぁ~、自分の指じゃあ………」
「それが悩みか?」
「そう。オ・ナ・や・み♡」
「帰れ!!」
俺の怒りゲージがマックスに達し、大声で怒鳴る。
気がつくと、あっという間に
「………意外と足が速いんだな、あいつら」
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