水☆ホシっ子 ネクスト!

「はい、簡単なものしかできないけど。」

「ぅわあ~! 美味しそ~!」

「あんたらってご飯食べなきゃダメなんだ……。」

「ま、人だしね!」

「星だろ。」

「これ、何!」

「それは、醤油皿だ。」

「じゃ、これは!」

「大皿だ。」

「じゃあ、じゃあ、これは!」

「フォーク。」

「これは!」

「箸。」

「ええっとぉ……あ、これは?!」

「テーブル、って料理出してんだから料理を聞けよ! 最終的にネタ切れみたくなってたし。」

「いっただっきまーす!」

「自由だなぁ……。」

「ん~! 美味しい~!」

「へへーん、だろ?」

「意外な才能~!」

「るっせぇよ。」

「そういえば、名前聞いてなかったね。」

「言ってなかったな。急に家に来たのに前情報もないんだな。」

「そうなの、何もわかんないまま、トイレに閉じこもってたんだよね。どんな人が来るかわかんないから恐怖でみんなで震えてたんだよ?」

「嘘つけ、1人1枚でババ抜きしてたじゃねぇか。」

「ほんっと、っとー……名前、何?」

露那つゆなだよ。別にどう呼んでもらってもいいよ。」

「じゃあ、ダンゴムシでいい?」

「なんでだよ! 名乗った意味がなくなるだろ!」

「じゃあ、ゆっちゃん!」

「なんで、真ん中の文字を選んだのか気になるけど、ま、それでいいよ。」

「私は水星のハレー!」

「大丈夫?! ハレーだと別の“すい星”になるけど!」

「またの名をマジック。」

「それは、また別の油性水性の“すいせい”だろ!」

「ま、こんな名前だけど陸に住んでいます。」

「どういう……いや、水棲すいせい! お前、魚じゃないんだから、そらそうだろ!」

「ま、私の事は“ホシっち”って呼んで。」

「その名だと、のちに来る奴全員にあてはまるじゃねぇか。じゃ、ミズでいいんじゃないか。」

「それにしよう! ダサいけどいいや!」

「余分な言葉があったがまぁいいや。ミズ達って、消えた星が人になったんだよね?」

「まぁ、一周回ってそうだね。」

「回らなかったらどうなんだよ。」

「多分ね、空から星が消えた理由と私たちがゆっちゃんの家に来た理由はすごい関係あると思うよ。」

「ふーん、ちなみに理由は?」

「重い話になるけどいい?」

「うん。」

「水星の質量は約3300がいキログラムです。」


―1垓とは10の20乗です―


「……いや、ほんとに重い話かよ! 星消えた理由教えろよ!」

「あー、それは地球人が望遠鏡を使って天体観測しすぎたから。」

「そんな理由で消えてたまるか!」

「いや、これ本当なの。」

「本当なのかよ!」

「ゆっちゃんは天体観測したことある?」

「ん~、夜空見上げるぐらいはするけど、望遠鏡とかではみたことないなぁ。」

「あー…………それが、私たちがゆっちゃんの家に来た理由だね!」

「『だね』じゃねぇよ! あたし、この話かなり無関係じゃない?! てか、率直な質問なんだけど、何で日本語喋れんの?」

「そんなこと気になんないでしょ。」

「なるから質問してんだよ。」

「まぁ、簡単に言うとくちがあるからかなぁ。」

「あ、そういう身体的な事聞いてんじゃないんだよ。あのぉ……もういいや。」

「はい、次の方どうぞ~。」

「だから、呼ぶなって! 誰呼んでんだよ!」

「あ、赤井さん、こっちです!」

「誰だよ?!」

「しっかし、どうしてこんなに大きくなっちゃったんですかー?」

「来るなー!」


♪ズガーン♪


―えー、本日3rd目の家の崩壊が起こりました。はぁ、眠っ……寝よ―


「おおぉぉぉおおおおおい! 今日3回目やぞ!」

「ギネスに載るんじゃない?」

「呑気か!」

「ま、無傷で済んだんだしいいんじゃない?」

「呑気かって!」


―……すー……すー……―


「いやぁ、家、復活~!」

「ほんっと、早ぇな……。素朴な疑問なんだけど修理費どうなってんだ?」

「あー、それならNA☆SAが出してくれるから問題ナシ!」

「アリだよ!」

「アリジゴク!」

「対抗するな! このままいくと今日1日でNA☆SAつぶれるぞ! もう、壊れないようにしろよ!」

「耐熱性、耐寒性、耐久性抜群です! 今回は空から、爆弾が降ってこようと、バズーカ砲撃たれようと大丈夫です!」

「すげぇな……。」

「赤井さんが降ってこようと大丈夫です!」

「すげぇな……って、まずデカいままで降ってくるなよ! ……その前に、人が降るなよ!」

「さ、今日はどこに連れていってくれるのかなぁ。」

「どこにも連れて行かんぞ?!」

「えぇ~、だって私は今日しかいないんだよ?!」

「ん~、まぁ、そうだけど、まだ朝の7時だぞ?」

「一回行ってみたいとこがあるんだよね。」

「ん~……。」

「お願いっ!」

「……はぁ、距離にもよるけど、いいよ。」

「やったーっ!」

「ったく、可愛いって得だな。」

「だよね~。」

「……。」

「行きたいとこあるんだよね!」

「へー。」

「今すぐ行きたいんだけど。」

「ちなみにどこ?」

「夜の歌舞伎町。」

「朝7時だって!」

「朝はやってないの?!」

「やってねぇよ!」

「オープン何時?」

「正式なオープン時間ないよ! 歌舞伎町は歌舞伎町っていう町!」

「あ、そうなんだ! じゃ、他に変なところない?」

「歌舞伎町も決して変ではないと思うよ。てか、変なとこ行きたいの?」

「うん。」

「遊園地とかじゃなくて?」

「遊園地なんか、楽しいだけじゃん?」

「何が不満なんだ。」

「ま、ゆっちゃんとならどこでも楽しいんだけどね。」

「いらないよ。ちょっと胸がときめいちゃうからやめろ。」

「可愛い~!」

「それ、鏡だよ。」

「じゃ、動物見たいしペットショップ行こっ!」

「種類がだいぶ限られるぞ。」

「じゃ、アフリカ!」

「場合によっては死ぬぞ。」

「じゃあ、ゆっちゃんの家でいいや。」

「妥協するな。出ていけ。」

「えー、私なんかがこの時間外出てたら、ゴミ出しに来た一人暮らしのおじさんにお持ち帰りされるよ?」

「その手のヤツを見すぎだよ!」

「ゴミ回収に来た人にヤられるパターンもあるよ?」

「複数のパターンいらないよ!」

「私が人妻だったらもっと需要があるだろうなぁって思う今日この頃、いかがお過ごしでしょうか?」

「どんな始まり方だよ!」

「私は変わらず、ヤられています。」

「おい! 大問題だよ。変われよ!」




―……むにゃむにゃ……もう、たくとうだよぉ……―


「どんな夢だよ! 普通『もう、食べられないよぉ』だろ!」


―……五四運動ぉ……―


「ほんとにどんな夢見てんだよ!」


―……はっ! もう、こんな時間!―


「やっと起きたか。」


―初代総統に就任する時間だぁ……―


「起きろぉぉぉおおお! てめぇは、蒋介石しょうかいせきじゃねぇ!」


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