第28話気づかなかった

披露宴で優希奈のまさかの発言に俺は驚いた。俺達は中学の頃にすでに出会っていたなんて。合宿で出会ってから優希奈はずっと俺のことが好きだったなんて気づかなかった。

なんでこんな大事なことに気づかなかったんだ。俺は馬鹿だ!大馬鹿だ!!

優希奈に会いたい。話したい。でももう遅い。俺は花と結婚したんだ。今更お前の本当の気持ちがわかってももう遅いんだ。

俺はどうしたらいい?

「何してるの!早く追いかけなきゃ!!」

「花?」

「好きなんでしょ?ちゃんと話さなきゃ」

「でも俺は」

「遅くなんてない。会わない理由を話さない理由を私にしないで!!あなたとなんかいつでも別れる覚悟は出来てるのよ」

「・・・すまない」

俺は会場から飛び出した。必死に探した

優希奈どこにいるんだ?

優希奈優希奈優希奈優希奈

俺の頭にはそれしかない。

日が落ちる時間だからか人気のない公園で優希奈を見つけた。優希奈は泣き崩れていた。

俺のせいだ。俺が彼女の気持ちにもっと早く気がついていれば良かったんだ。

「ごめんな。優希奈」

気がつけば話しかけていた。

「優希奈が手術受けられるようにしてくれたんだな。それなのに他に彼女作って何も知らずにごめんな。ホントにごめん」

俺は優希奈を抱きしめた。どこにも言ってしまわぬように強く優しく抱きしめた。

「私の方こそごめんね。夕」

「俺は優希奈と別れてからもお前のことが忘れられなかった」

「私も別れてからも夕のことばかり考えてた」

「俺な大学で運動サークルって言うの作ったんだ」

「運動思いっきりできるようになった?」

「あぁ。そのサークルで花と出会ったんだ」

「そうなんだ」

「優希奈は?」

「私は声優の専門学校に進学して今はバイトしながら声優やってる」

「すごいな」

「そんなことない。私はまだまだだから」

「それでもすごいよ」

「ありがとう」

「なぁ」

「なに?」

「俺にはもう花がいる。お前のこと好きだよ。今でも好きだ。恋愛感情の好きだ。でも花のことも好きだ。恋愛感情の方で。だから結婚したし今日式を挙げた。」

「分かってるよ。もうやり直せないんだよね」

「そうなんだけど友達としては無理かな?」

「友達として?」

「俺達考えてみたら友達の期間ってないじゃん?」

「言われてみれば」

「だから今度は友達をやろう?」

「いいの?奥さんに怒られない?」

「花とも仲良くなればいいさ」

「仲良くなれるかな?」

「大丈夫。優希奈ならきっと上手くやれるよ。なにせ同じ男を好きになったんだから」

「そういう所変わらないね」

「優希奈はますます綺麗になったな」

「そう?」

こんな話をして俺達はようやく笑った。

恋人としては遅かったかもしれないが友達としてなら全然まだ間に合う。これからは友達として上手くやっていくんだ

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