第13話手術

8月も半ばになり夏休みも終わりに近づいてきた。今日は優希奈と海に行く日だ。優希奈の水着姿が楽しみで仕方がない。

唯一の文句があるとすれば優希奈の親友秋野夢と俺の親友桜葉大和も一緒に行くことくらいだ。2人っきりで楽しめると思ったのに少しショックだ。

「ねえスイカ割りしようよ」

「向こうの岩までどっちが早く泳げるか競争しようよ」

「ビーチバレーしよ」

彼女の全てが愛おしい。一つ一つの仕草や発言がいちいち可愛くて人を愛することがこんなにも素晴らしいなんてこんな気分になるのは生まれて初めてだ。

楽しい時間は直ぐに過ぎ気がつけば帰る時間だ。海からの帰り道西園財閥の会長と名乗る人が俺の前に現れた。要件は俺の手術費用を負担してるらしい。何故そんなことをしてくれるのか聞けば彼はこう言った。

「小学4年生で全国小学生チャンピオンになり中学では全国大会出場経験もある実力者だ。剣道でなくても君にはスポーツの才能がある。その才能を潰したくはないんだよ。手術すれば今以上に動けるようになる。その手伝いをぜひともさせてくれ」

また剣道が出来るかもしれない。また運動が出来るかもしれない。もちろん今のままでも運動はできるが思いっきりできるわけじゃない。もう二度と本気で運動は出来ないと諦めていたところに希望が見えた。俺は両親と相談し同意してもらった上で手術を受けることにした。

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