第8話彼女が出来た

優希奈が彼女になって2ヶ月がたったある日俺はいつものようにオレンジの光が指す夕暮れの教室で優希奈と話した。

付き合い始めてすぐの頃に優希奈が「帰る前に教室でお喋りがしたい」と言った。その日から俺達は教室でお喋りしてから帰るようになった。

「ねえ夕」

「なに?」

「夕は剣道やらないの?」

「なんで剣道やってたこと知ってるだ?」

「夢に聞いたの。あの子も剣道部だから」

「中3の10月にさこの学校の中等部と合宿やったんだけどその帰りに事故にあってもう剣道はできないって診断された」

「そうなんだ。知らなかった」

「でも部活やってたら優希奈と話す時間も無くなるし俺元々剣道は中学までって決めてたんだ。だから未練はないよ」

「そっそうなんだ。でも剣道やってる姿も見て見たかったな」

正直剣道に未練はあった。また剣道をやりたかった。手術すればまた剣道ができるようになると言われたがそんな余裕うちにはなかった。

この日何故優希奈は剣道の話をしてきたのか俺にはわからなかった。優希奈の密かな決意を知ることになるのは今から7年後の俺の結婚式。

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