三十九曲目:MARETU(極悪P)『ぴんく』

 レビューします♡

 というわけで、私のこのエッセイのレビューの方でリクエストが来た、MARETUさんの『ぴんく』です。この曲の前にリリースされた『ナミダ』についてもいずれ書きたいと考えていますが、まずはこちらから。

 ……いやはやとても分かりやすい。楽曲で扱われているテーマがはっきりと提示されるので、かなり解釈が進めやすい曲ですね。ちょっと珍しいような気もしますが、今は疲れているのでこのくらいがちょうど良いです(笑)

 しかし、歌詞の悲惨さに比べてメロディがはっきりしており、曲調もかなり明るいんですよね。ドスのきいた音は使われていますが、基本的にポップで、それが逆に不気味さを引き立てている節があります。

 そして、画面についてもかなりポップです。ニッコニコです。サビではあっかんべーして、まあかわいいですね。ただ、サビ直前に挟まれるモザイク画像が結構不気味なので、笑顔も逆に怖いかも……という感じ。

 イントロは『ナナナ ナナナ ナナナナナ』とかなり陽気です。とはいえ、メロディー自体はちょっとダークなので、闇がある感じと言いますか、どこか嫌な予感がする感じですね。

 Aメロの部分はかなりゆったりとしていてかつシンプルです。リコーダーのような音が聴こえるのが好きですね。それに対してBメロはちょっと荒々しさを見せてきます。特にドラムがかなり暴れている印象です。サビに向かってどんどん盛り上がっていく感じが格好良い。

 そしてサビは、どちらかというとAメロに近い感触ですね。ただ、サビの方が圧倒的に圧があります。少し小ぢんまりした感触でありながら、開けていくような印象もある、かなり面白いサビです。

 全体的にはピコピコした音が結構目立ちながら、ドラムも主張が強いですね。メロディーもはっきりしていてかなり聴きやすいです。

 個人的に好きなのは、最後の部分でドラムが少しスローになり、不気味な感じにリバーブ(で合っているのでしょうか)がかかっているところですね。かなり良いです。

 今回も期待を超える良曲でした。MARETUさんは楽曲のスタイルこそ変わってきているものの、安定しているのがありがたいですね。安心して聴けます。あと、このところペースが上がってきているのもうれしい点です。次のアルバムが楽しみですね!

 いったん、今回はここまで。

 有名ボカロPの新曲、是非一度聞いてみてください。

 


 ↓楽曲の歌詞の解説と考察(モドキ)はこの下↓





















『しう』で書くかもと言いながら書いていなかった歌詞の解説と考察、今回はやっていきたいと思います。

 今回の曲は、一言で言えば違法薬物中毒になった女性の歌です。薬物に手を出してどんどん体も心も壊れていき、その過程で貞操観念も歪んで、最終的に廃人になってしまう、というストーリーです。

 ……実をいうと、この曲の歌詞についての考察動画がすでにありまして、今回はある程度そちらの動画を参考にしております。(一番最後にURL貼っておきます)

 ではさっそく始めていきましょう。

 まず『割れたキャンディー』から『ファナマリジャンキー』の部分はすべて薬物のことです。キャンディーもクランチも薬物の通称、ファナマリについてはそのままマリファナのことです。そして、その次の『飢えた坊ちゃん 饐えた嬢ちゃん』は、おそらく薬物の売人の男と標的にされた女性、と言ったところでしょう。その次に来る歌詞からして、表面ではよさそうに見せておきながら裏側は悪意に満ちている、というシチュエーションが想定できます。

 そして、その次にはもうすでに薬物の副作用が強く出ています。自分を制御できず、どんどん溺れ、壊れていきます。『なびく悪意に目を光らせる』はおそらく二重の意味で、薬物の副作用による幻覚や被害妄想によって周囲を過剰に意識する、というのが一つ、大衆の『薬物はダメ』という認識を前提とした過剰な自衛(薬物乱用が発覚すれば逮捕されてしまう、ということ)というのがもう一つ。その次のところでも、大衆に対する敵意のようなものが見られます。おそらく、ダメだと言われている薬物は本当は素晴らしいものだという思考のもとに成り立っている(というか、そう考えないともうまともに生活できない状態になってしまっている)わけです。

『狂いかける躁』も副作用ですね。その次の『首撥ねるSAW』はリストカットか、包丁などの刃物をもって自己防衛しているさまを表しています。また、映画の『SAW』ともかけている(でしょうね。その次の『悪い笑顔』から『心がひろいんだ』までの部分はまだわからないのでいったん保留。

 サビの歌詞は間違いなく違法薬物で人生が壊れていくのを嘆く様子ですね。壊れてしまった、終わってしまったと、自覚はあるということがうかがえます。

 二番ではさっそく性行為の描写が入ってきます。『摂るブランチ 吐くスラッジ』という歌詞からしておそらく薬物も使っていますね(ブランチという単語が薬物と関係あるかは私の調べた限りではわかりませんが、本来の意味からしておそらく薬物の暗喩で間違いないと思います)。また、『滅公奉私パーティー』という歌詞から推測するに乱交パーティーに行っています。

 そして、そこで物語の主人公の女性は子を身籠ってしまいました。この時点ですでに倫理観も何も残っておらず、とにかく自分を陥れようとしてくる(と、感じている)相手から身を守るのに必死になっています。『孕んだ怨念』という歌詞は、誰との子か分からないことに対する感情と、身籠っているがゆえに性行為ができないという怒りと、二重の解釈ができます。

『笑いかける躁 奮い立つSAW』は薬物の中毒症状が末期まで来ていることの比喩でしょう。そして、一番では『心が』だったのが二番では『心は』になっています。薬物を摂取することで一時的に心が安らぐが、現実はすでに終焉を迎えようとして道が閉ざされている、ということの暗喩でしょう。

 そして、最後のサビでは完全に壊れきってしまいました。『感嘆、満タン! アンアンアン!』は薬物と性行為でしか空っぽの心は満たされないという意味だととらえられます。そして『いかれてしまったの』『壊れてしまったの』と繰り返しながら、この曲は終わります。この部分で動画に出てくる画像の色が薄くなり、ひび割れたようなデザインになるのは、完全な廃人になり死にゆく様を表していると考えられます。

 そして、他の曲との関連ですが、『ぴんく』の主人公の幼少期が『マジカルドクター』、『ぴんく』で身籠った子供の視点が『しう』なのではないかと思います。マジカルドクターは『ぴんく』と同じく薬物というテーマでの関連性、『しう』は途中に出てくる『WOW』という歌詞から関連しているのではないかと仮定しました。『スヂ』も考えましたが、向こうが指を切り落とされた手であったのに対して『ぴんく』は単純にピースしているだけ(あるいは中指を立てているだけ)なので、おそらく関連しているわけではないと思います。

 以前『しう』については書きましたが、今回改めて聞き直して『SUCK IT UP(我慢しろ、などの意)』『最低の犠牲者に愛を』『匂い立つ死の艱苦』『どうしてここまでほうっておいたの』など、引っ掛かる歌詞が多いと感じました。またサムネイルの画像もベッドに寝ている赤ちゃんをのぞき込む二人の大人(『ぴんく』の主人公と看護師?)と解釈できます。

『マジカルドクター』についても、『せんせー あたしのびょおきはなおるんですか』『なおりません』『しょうきにもどるんですか』『もどりません』など、薬物中毒を表す描写などで関連性が高いと思われます(MVに出てくる暴力的なまでにカラフルな画像もそれを示している)。途中で出てきた『飢 植 ㊤ ↑ 飢 殖 増』の文字も、それぞれ『薬物に飢えている』『身籠った』『薬物で躁になっている』『薬物の摂取量が増える』などと解釈できますね。さらに言えば、『ぴんく』の歌詞にある『心がひろいんだ』『心はひろいんだ』を『心がヒロインだ』『心はヒロインだ』と解釈すれば、この曲の歌詞に出てくる『おひめさまにはなれない』の部分とも関係が見いだせます。そして、この曲の主人公が生徒(あるいは学生)であることを考えると、『ぴんく』は『マジカルドクター』の後日譚ととらえられます。また、『N A M I D A』と連呼しているので、おそらく『ナミダ』ともつながっているのでしょうが……そちらはいったん保留で。

 まあ、『マジカルドクター』については描写されているのが注射器で、『ぴんく』で描写されているマリファナの摂取方法とは違うという点で、もしかしたら深読みしすぎだという可能性もあります(笑)


 生徒と言えば『ゴキブリの味』も関連性がありそうですが……もしかしたら『しう』→『ゴキブリの味』→『ナミダ』→『マジカルドクター』→『ぴんく』という流れで一つのストーリーが出来上がるとか、そんな感じだったりしますかね? ふと思いついたので、一応記しておきます。





 以下、参考にした動画のタイトルとURLです。

・『MARETU/ぴんく 考察してみた』https://youtu.be/Mc5KhaOJQpE

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