三十六曲目:Jagwar Twin『Happy Face』
本当にお久しぶりです。
このところリアルが忙しくて、さらに言えばモチベーションも激減していて、完全に更新をさぼってました。
……PV数を見るに一部を除きほとんど読まれていないようですが、それでも一応、謝っておきます。すみませんでした。多分更新頻度はそこまで上がりません。それもごめんなさい。
前置きはこのあたりにして、さっそく曲紹介に移りましょう。
これは先日Twitterでバズっていたツイートのリプライにあって、偶然知った曲なのですが……聞いた瞬間完全に虜になりました。
一言でまとめると、この曲はPVも含め『ナンセンスなアート作品』として完成しています。一般的にアートとして思い浮かべられる『美しさ』とは正反対、徹底的にダサくなるよう計算されつくされた、いわゆる『ダサかっこいい』の境地にあるんです。
まずはイントロのメロディカ、要するに鍵盤ハーモニカ(PVではアコーディオンが映っていますが、クレジットではMelodicaとなっています)のサウンドからして、とにかくチープで情けない。鍵盤をたたく音もかすかに聞こえ、それも一層ダサさを引き立てています。
明るくも暗くもない、言ってしまえばチープなメロディーも然り。そこに『Hey! Put on a happy face, then everything's okay!』なんて陳腐もいいところな子供のコーラスが乗るのですからもう文句のつけようもありません。
定期的に右側から聞こえるギターサウンドもヨレヨレだし、トランペットも音がボロボロ。ドラムは安定していますがあまりに安定しすぎ(打ち込みか、と思うぐらいです)なのが逆に絶妙なダサさ(……というより、単純に面白みがない)を醸し出しています。
そして、音楽以上に特筆すべきなのがMV。
再生してもらえばわかりますが、しょっぱなから平成初期のテレビのような低画質でスーツ姿のJagwar Twinが画面いっぱいに映ります。彼がサングラスをかけた直後テレビの模型が映り、そこに上下反対のJagwar Twinが雑な切り抜きで登場。
そこからはもうダサい演出のオンパレードです。雑な切り抜きの本人の後ろで流れる無秩序な映像群、画面いっぱいどころか微妙にはみ出すほど大きく表示されるSans(おそらく)フォントと中世風フォント、不自然かつ単調な動きを繰り返す本人の映像。
映像も無駄に彩度が高く、また本人の動きも微妙にぎこちないので、ただひたすらに『ダサい』んです。でも、それが『カッコいい』。一つ一つ要素を抜き出してみればダサさ以外何も残らないような代物なのに、それが合わさったせいで逆にクールで面白いものに変わっているんです。
この感覚は見てもらえばわかります。文章を書くことを趣味としている私が『見ればわかる』なんて投げやりなことを言うのはどうなんだと思いますが、とにかく見てくださいとしか言いようがありません。
そして、これはTwitterでフォロワーさんに言われて気づいたことなのですが、この曲は様々なカルチャーを闇鍋のごとく混ぜているんです。ヒップホップ、ヒッピー、ポストロック、等々……(これが正しいかどうかはわかりませんが)様々な要素がごちゃ混ぜになって無作為にぶちまけられているのが、この曲の『ダサさ』あるいは『訳の分からなさ』を引き出しているように思えます。
個人的には、ラスサビに入る手前の感想部分、ドラムがちょっとだけ荒ぶる中『Death of my generation』なんて声が聞こえる部分がものすごく良い味を出しているなぁと感じていて、特にお気に入りの部分です。
今回はここまで。
まだリリースされて間もない、レトロともモダンとも取れない異質さと異様なダサカッコよさをもった、奇才の楽曲。是非一度聞いてみてほしいです。
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