怪談のキャラに漫才させてみた

クラタムロヤ

「SNSで怖がらせる」

メリー「どーもー」

花子「カイダンガールズと申しますー」

メリー「よろしくお願いしますー」

花子「私たちはね、よく学校の怪談に出てくるんですけどもね、見るのは初めての方も多いかと思いますので、紹介させていただきます。隣にいるのが、怪談界の黒船、電話越しの相手を恐怖させた数は『着信○リ』を凌ぐ、電話のメリーさんでございます」


メリー「私メリー、今あなたの後ろにいるの」

花子「まあ、今はどのお客さんよりも前にいるけどね。じゃ、メリーさん。私の紹介して」

メリー「怪談界のプリンセス、赤い吊りスカートはトイレに咲く不気味な一輪の花。おかっぱ頭、頭の皿、水かき、きゅうり好き、トイレの花子さんです」


花子「それカッパ! おかっぱ頭に引っ張られすぎだから」

メリー「でもほら、トイレ中に襲えば取りやすいでしょ、アレ?」

花子「私、尻子玉取らないよ!? 見た目小学生の女の子になんてことさせるのよ!? あらためて、トイレの花子です、よろしくお願いしますー」



メリー「怪談ヒロインツートップで漫才させてもらってますけど、今日はお客さんがいっぱい来てますね。とくにべっぴんなお女性のお客さんが多いですね」

花子「まさか令和にもなって、ベッタベタなアノくだりをやるの? しかも最近はそういうのに風当たり強いけど大丈夫!?」

メリー「前からべっぴんさん、べっぴんさん、べっぴんさん、一人とばしてべっぴんさん……あれ、ひとり足りない? まさか神隠しにあったんじゃ――」

花子「ひとり飛ばしてるから! 変化球だったー、びっくりしたー。でも安心したー」


メリー「そういえば花子さん、令和で思い出したんだけ相談してもいい?」

花子「どうしたの急に」

メリー「私たちは昭和、平成と時代を超えて怖がられてきた存在だけどそれは時代に合わせて行ったからだと思うの」

花子「たしかに、メリーも最初、据え置きの電話や公衆電話からケータイ、スマホに変えてきたもんね」

メリー「だけど私思ったの。もう『電話をかけること』が古いんじゃないかって」


花子「そうかなー」

メリー「そんなこと言ってると時代に取り残されて忘れられちゃうよ! 赤い吊りスカートってファッションセンスだいぶ時代取り残されてるからね。いつの時代なの、それ? 江戸?」

花子「そこまで昔じゃないわ、昭和だわ。しょうがないでしょ、トレードマークなんだから!」



メリー「そこで、令和らしい怖がらせ方考えたから、花子さんに感想を聞かせてほしいの」

花子「分かった」

メリー「令和は通話じゃなくてSNSで怖がらせる」

花子「どうやって」

メリー「ツイッ○ーでこうツイートするの、『私メリー、今あなたの後ろなう』」

花子「え、令和らしいというより若干古くない!? 『今』と『なう』で意味かぶってるし。じゃあさ、せっかく画像載せれるし、メリーさんがいる場所を画像でアップするってのは? 『私メリー、今ここにいるの』って」

メリー「え、でもセルカ棒持ってないよ?」

花子「自撮りしようとするな」

メリー「フォトシ○ップもインストールしてないし」

花子「盛ろうとするな」


メリー「そうだ、画像載せるならツイッ○ーじゃなくてインス○グラムに変えよう」

花子「なんでよ」

メリー「花子、この夕日をバッグに私を撮って」

花子「インス○映えしようとするな」

メリー「私メリー、いまインス○女子で話題のタピオカドリンク専門店にいるの」

花子「タピるな」

メリー「私メリー、いま1時間並んでるけどまだ買えないの」

花子「そりゃ話題だからね!」

メリー「#私#メリー#今#あなたの#うしろに#いるの」

花子「タグで刻んでくるな。メリー、やっぱSNSはやめよう。全然怖くない。そんなんじゃいつかみんなから忘れられるよ!?」


メリー「ミク○ィみたいに」

花子「やめてあげなさい! まだ使っている人もいるんだから」

メリー「やっぱり、時代に合わせるってのは難しいねー」

花子「ある意味、一番時代にあってたよ。メリーさんは」

メリー「あれ、ツイッ○ーのリプライ通知めっちゃ来てる」

花子「あ、メリーさん、ツイッ○ーはしてたんだ。てか漫才中にツイッ○ーチェックするのやめなさい」

メリー「漫才前に花子さんの後ろ姿を撮って『私メリー、今あなたの後ろにいるの』ってツイートしたのよ」


花子「それで、どんなリプライ来たの?」

メリー「画像付きで『今、花子さんの後ろのメリーさんの後ろにいるの』」

花子「盗撮されてんじゃん」

メリー「『お前それゴルゴ3○の後ろでも同じこと言えんの?』」

花子「クソリプ来てるじゃん!!」

メリー「おかしいわね。全然怖がられていない。こうなったら、エゴサーチして私に対する恐怖のツイート探してやる!」

花子「もうやめなって」

メリー「……」

花子「どうしたの?」

メリー「なぜか私が迷子ロリ属性がついて萌えキャラ化されたイラストや漫画がアップされてて、なんならエッチな薄い本まで出てる……」

花子「だからやめなっていったのに」

メリー「いつの時代も怪談のお化けより生きている人間が一番怖いね」

花子「やかましいわ」

メリー「どうもありがとうございましたー」

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怪談のキャラに漫才させてみた クラタムロヤ @daradara

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