第15話 悪神の助力

劉の身体を借りたなにかはクイファとエレンを囲んでいた襲撃者達を次々と斬り倒した。


『ちっ、めんどくせぇ』


なにかは斬っても時間がかかるだけなので、魔法を使った。


『ダークプロージョン』


手からは黒い炎が生まれ、前に向けるとその炎が襲撃者達を囲み、爆発した。

クイファとエレンが苦戦していた、大人数の襲撃者達は一瞬で殺された。

なにかはクイファとエレンの前に歩いていった。


●●●


劉が目の前にやってきたのを見て、エレンは呟いた。


「これはあなたの仕業なの?」


『そうだ』


「少し雰囲気が違うわね」


『まあな。俺はこいつの身体を借りてるからな』


「誰?」


『お前達も知っているだろう。だよ』


「「なっ!?」」


クイファとエレンは目を見開き驚いていた。


『驚いたか?普段はおとなしくしてるんだが、今回はこの身体の主が助けを欲しがったからな。だから少し助けた』


「……悪神様はなにかされるのですか?」


『いや、俺はただこいつに助けを求められたから助けたまでだ』


「悪神様がなにかされることはないのですか?」


『ないな。俺はただ劉の中にだけだ。こいつが頼ろうとしない限りは出てこないさ』


「そう、ですか……」


クイファはそのまま黙った。


『それで、オレはなにをしたらいい?一応劉にはお前さんら2人を助けてくれと頼られたからな……うおっ!?』


そう言ったとき劉の体になにかぶつかってきた。


「りゅー!」


『なんだこいつは?』


「あら、ナノじゃないの」


「あ、クイファさまとエレンさままで」


「…わたしは先に行ってるわ」


エレンはそう言って飛んでいってしまった。


「ナノはどうしてここに?」


「りゅーを追いかけてきたの」


「なるほど。とりあえずナノは戻りなさい」


「でも……」


「いいから。ここからは危険なのです」


「……分かりました」


ナノは渋々といった感じで元の道を引き返した。


「あの、劉とお話しすることはできますか?」


『ああ』


悪神は頷いた。劉の体が淡く光り収まるとそこには普段の劉がいた。


「劉さん、なのですか?」


クイファは不安そうに訪ねる。


「あ、クイファさん!無事だったんですね良ったです」


ぎゅっと手を握られちょっと頬を赤くした。


「お話しをしてもよろしいですか?」


「この現状については分かっているんですか?」


「私から言えるのは賊が妖精と精霊を捕まえにきたってところです」


「この場所は知られてないんじゃ……」


「ええ、そのはずです。しかし見つかってしまいました。でも、そのことは後で考えます。今は捕まえられた妖精と精霊たちを助けに行かないと」


「そういえばルゥは?」


「恐らくですが、捕まったのではないかと」


「なっ!?それなら早く助けないと」


「そうですね。でも今の私たちにできるのか不安ですね。襲ってきた賊達はみな武芸に達者な人達でしたし」


「大丈夫です。クイファさんのことは僕が守ります。いざとなれば僕の中にいる悪神にも力を借りますから」


「そ、そうですか」


真剣な眼差しと表情で言われたクイファは劉の顔をまともに見れず、そっぽを向いてしまった。


「早くいきましょう!」



<hr>

作者からのあとがき

久々の更新です。長く待たせてしまってすいません。今後も不定期更新だと思うのですが月に2、3話書けれたらと思っています。今後も楽しみに待っていてほしいです。

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