序ノ二:状況把握、問題提示

【プロフィール】

名前:十日町とうかまち幽矢ゆうや

職業:会社員

性別:男 年齢:20 誕生日:7月15日

身長/体重:171cm/65kg

好きなもの:読書、ゲーム

嫌いなもの:暑さ、寒さ


―――


8月25日12時。

場所、不明。


十日町とうかまち幽矢ゆうやが起きたのは、見覚えのないホテルのエントランスのような場所だった。

白と黒で構成されたオシャレな壁と床をオレンジの優しい照明が照らしていた。

十日町は辺りを見渡すと、ベンチに座っている一人の女性を見つける。


緋山ひやまさく、高校時代のクラスメイト。彼女を見て少し前の十日町の記憶が蘇る。彼は街で倒れていた緋山に近寄った瞬間に意識を失ったのだ。


「……そうだ、緋山大丈夫か?」

「え、なんで名前……あれもしかして…十日町くん?」


緋山は記憶から引っ張り出した情報をもとに自信なさげに聞くと、十日町はそれを肯定する。

二人は唐突な同級生との再会を喜んで、しかしそこまで深い仲ではないのでぎこちなく会話を進めて情報交換をする。そして至極真っ当な疑問を口にした。


「ここどこだろうね」

「わかんねぇ。誰も居ないみたいだし、何故かスマホは圏外」

「……じゃあ、ちょっとあそこらへん見てみようよ。固定電話とかあるかも」


緋山が指した先にはカウンターがあり、その後ろの壁にはテレビが取り付けてあったが電源は切られている。


「そう、だな。まずかったら謝るしかないか……」


二人はカウンターを調べた。カウンターには数個の引き出しがあったが何もなかった。代わりに、テレビが設置してある壁にメモが2枚貼ってあり、丁寧な字でこう書いてあった。


『タイムリミットは72時間』

『うしろの扉から脱出しろ』


「うしろ?扉なんてあったか?」

「あれじゃないですか、どうやら鍵がいるみたいだけど」


十日町が後ろを振り向くと、確かにそこに灰色の扉があった。

二人がどう頑張っても到底開きそうにない、このエントランスから明らかに雰囲気が浮いている頑丈そうな扉が。


「鍵か、じゃあどうしようもな――


その十日町の言葉は引っ込められた。二人しか居ない空間に3つ目の音がなったからだった。


音の方に目を向けるとさっきまで電源が切られていたテレビがついていた。

そのテレビではキャスターが「こんにちは、8月28日午後0時のニュースです」と挨拶をしている。いまからニュースの時間らしい。

十日町は驚かせんじゃねえよ、とやや怒りながら、緋山は少しでも何でもいいから情報が欲しいと食い入るようにテレビを見つめる。


テレビではキャスターが告げるようにニュースを読み上げた。


『昨日、熱中症と思われる症状で病院へ搬送された若い男女二人ですが、先ほど息を引き取ったというニュースが入っております……』





『亡くなったのは十日町とうかまち幽矢ゆうやさん、緋山ひやまさくさんです』


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