海と空

「…え?」

「…何してるの、そこの女の子…」

 そこに居たのは金髪の少女。私より遥かにちっちゃいけど、私の事を女の子と呼んでいる。

「あれ、貴方…中学生くらいじゃない?」

「見た目はね。中学生の少女。でも中身は違うのよ」

 見た目と中身が違う…?こんなこと、あり得るのだろうか?私が屋敷の中に居た間、この世界で何か起きたのだろうか?

「マスクだけじゃ危ないよ。うちの眼鏡持っていきな」

 そこにあったのは、花粉症対策用の眼鏡っぽい物だった。でも、眼鏡というよりゴーグルっぽい。

「何円ですか…?」

「金は要らない。ただ、うちの妹も一緒に連れてってやってくれ」

 奥から出てきたのは綺麗な緑色の短い髪で、橙色の上着を羽織った私と同じくらいの女の子だった。目もぱっちり開いていて、可愛い。

「こんにちは、お客様。私は友人を捜しに外に出ようとしているのですが、なかなか怖くて…遠出なら、連れて行ってくださいませんか…?」

 いきなりの事態に困惑する。けれど、1人は心細いし、一緒の方が良いのかもしれない。

「…良いですよ。それではゴーグル、貰っていきます。行きましょう。」

「は、はい…」

「毎度あり。遠出か、頑張ってな。」

 私は気まずくなりながらもその女の子と歩く。

「…名前、なんて言うの?」

「あ、私は…愛海メグミです。」

「可愛い名前だね。私は未来ミクって言うんだ」

「未来さん…そちらの方が可愛いです」

「そう(笑)?」

 愛海さんか…きっと、両親は海を愛していたんだろうな…こんな世界も、昔は綺麗な海があったんだな…

「なんだか、未来さんは空の人って感じで、私は海みたいです」

「フフッ、それ面白いね!」

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