第2話 インターハイ

「(え、湊先輩……誰とも付き合う気ないの……。告白しようと思ってたのに)」



 美結は湊を見かけ、後を追いかけるも告白現場に遭遇してしまった。


 物陰から息を殺しながら2人がいなくなるのを待っていたようだ。



「(……でも、呼び出す前で……よかった。あんなの聞いた後じゃ告白できなかったし……)」



 美結の瞳には薄らと光るものが見えた。



 ***



 ──そして、現在に至る。



「あ、湊先輩だ……」



 朝練の為、体育館へ向かう美結と朱里。

 美結の視界には1人、シュート練習をする湊の姿が映った。



「大丈夫……?」



 朱里は小首を傾げ問いかける。



「……うん、大丈夫。あたしはマネージャーだから」



 美結はそう自分に言い聞かせるように呟いた。



「じゃあ、あたしは時間潰してくるから頑張って」

「ありがとう」



 朱里は来た道を戻って行った。


 美結は大きく深呼吸をした。



「……湊先輩! おはようございます!」

「福島、おはよう」



 美結は体育館に入るなりゴール近くにいる湊へ声をかけた。


 美結が笑顔を見せれば湊もそれに応えてくれる。


 それが嬉しくて美結は頬を緩ませた。



「湊先輩、早いですね。何時に来たんですか?」

「30分くらい前かな。次の試合も負けたくないからさ」

「来月のインターハイですね。頑張ってくださいね!」

「ありがとう。いつも助かってくるよ」

「……え」



 笑顔を見せた湊。


 右手を上げるとそのまま美結の頭へ置かれた。


 その行動に戸惑う美結は湊を見上げた。


 頭には手が置かれている為、必然的に上目遣いとなった。



「あ、ごめん」



 湊はそう口にすると手を引っ込め、美結に背を向けた。


 その耳は真っ赤に染まっていた。



「いえ……」



 対する、美結の頬も湊に負けないほどに赤くなっている。


 それから数分後、まるで見計らっていたかのようにバスケ部員達が体育館へ入ってきた。


 その最後に同じバスケ部エースの朱里が体育館へ入ってきた。


 ***



 7月下旬、湊達は総合体育館に来ていた。

 インターハイだ。



 ここで負けると湊達3年生は引退。



「湊先輩! 応援してます!」

「ありがとう」



 笑顔を見せた湊は部員達の元へ向かった。

「男子1回戦、書島カクシマ高校対読海ドッカイ高校の試合を行います」

「礼」



 審判の後に続き両チームが頭を下げた。


 サービスは相手チームの書島高校だ。


 3分間の練習を終え、試合が始まった。


 守りが上手くいかず点差はどんどん開いていく。

 湊が一瞬の隙を見てボールを奪うとドリブルをしゴール付近まで向かう。


 そのままボールは吸い込まれるようにゴールへと入っていた。


 そこでホイッスルがなり2分間の休憩だ。



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