第3話 告白

 次のライブで、衝撃的な場面を見てしまった。

 早苗さんが圭くんと腕を組んで、自分の胸を押しつけて、頭を寄せていた。


 私はショックを隠して、美沙子にこっそり聞いてみた。


「あれ? 早苗さんと圭くんって、付き合ってるのかな?」動揺の色が顔に出ないように。


 美沙子はすぐに答えてくれた。付き合っていないと。

 早苗さんは他に彼氏がいるらしい。早苗さんの彼氏はライブハウスに来る人じゃないので、彼女は堂々とスキンシップをはかるらしい。


「亜水、それより倫太朗と仲良いんじゃん? 遊びに行って、何か進展あった?」

 美沙子が笑顔で聞いてきた。


「何もないよ」私は精一杯笑顔を作って答えた。

 圭くんへの想いは、美沙子にも秘密にしている。

 圭くん目当てにライブハウスに来てるって、思われたくないから……。


    〇


 ある日、私は倫太朗くんに告白された。


 金曜日、学校が終わったあとに会う約束をしていた。

 いつもは土日に遊んでいたので、珍しいなと思った。

 倫太朗くんと二人で夜ごはんを食べて、カラオケに行った。

 そろそろお開きにしようとした時、カラオケルームで告白された。

 私はOKをした。


 正直、圭くんと早苗さんのイチャイチャぶりを見るのが嫌だし、何より何も出来ない自分が嫌いだった。


 先日は用事があって実家に帰った。いつもの兄と姉の喧嘩の声を聞いて頭痛がした。

 嫌な事が続いていた。私は自分が嫌いになっていた。

 そんな私を求めてくれる倫太朗くんに、癒しを求めたのかもしれない。


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