39篇 流される不幸なニュース

今日もニュースで

多岐にわたる不幸な情報が流れている


あそこで事故があった

こちらで虐待があった

殺傷事件があった

ここでは孤独死があった


死を伝える情報が

あちらこちらで流れている


○○事件から何年というニュースもある


それを見て、もうこの事件から

こんなに時間がたったのかと

他人としてニュースを流し見している

薄情な自分がいる


亡くなった命は戻らない

遺族にとっては今日のことのように

思い出される記憶


でも当事者にならないと

記憶は風化し、悲しみは薄れる


…それは悲しみなのだろうか

ただの哀れみ、同情ではないのかと

疑問を抱くことがある


流れる不幸なニュースをすべて

拾い集め、共感していては

きっと心が壊れてしまう


だから人間は忘れるのだろう

自分の心に負担がかかることは


不幸なニュースの記憶が薄れたとしても

二度と繰りかえなさい

繰り返させないという想いだけは

薄情な自分でも持ち続けたい






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