第16話
「ハイ!では本日もしっかり実地で学び、そして怪我無くダンジョンに入って行ってください!ダンジョン内では自己責任!以上!解散!」
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(あー糞ダリ~・・・家帰ってゲームしてー・・・かーえーりーたーいーなー・・・)ダンジョン演習の開始早々、優人は全くやる気が湧かないダンジョン演習に、つい心中でそのような愚痴をつぶやいていた。
彼はもうダンジョンへ入る資格を得ているので、このような学生用に調整されたダンジョンでは訓練にも新鮮味もなかったしならなかった。せいぜいが授業の合間の小遣い稼ぎ程度にしかならなかったので猶更彼はやる気が湧かなかった。
だが帰ろうにも一旦ダンジョン外へ出なければならないし、その時に脱走がばれないという保証がなかった。当然だが無許可でダンジョン外へ出ると罰則が科せられる。それ以前に誰が出たか誰が入ったかということは記録されているので、そもそも出られなかった。出来ないこともないが、そんな苦労してまで出るほどのことでもなかった。
だが出たところで使い魔たちがどこかへ連れて行けと彼をどやすだろうから、外へ出てもあまり変わらないだろうと想像できた。だったらこの中で時間をつぶしていた方がマシだと思ったので、あまり気が乗らない気持ちでダンジョン内を徘徊していたのであった。
優人はダンジョンを手ごろな獲物を求めのそのそと徘徊するように歩き回り、時折立ち止まっては心底面倒くさそうな顔を隠しもしないでため息をつき、またのそのそと歩き始めるということを何度か繰り返していた。
そんなことをしている途中でハッと立ち止まり、つまらないと思っていては余計に面倒くさくなる、と思ったのでどうにか気持ちを切り替えながら、いつものように付近にいる手ごろな獲物を定めそこへ向かって歩き始めた。
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コウヤリザードという巨大なトカゲを3匹ほど仕留め、解体して肉を焼いていると背後に気配を感じたので、訝しげに振り返り、大勢の生徒がワイワイガヤガヤと話しながら集まってきている光景が目に入り、彼は顔を引きつらせてぶったまげた。
「おー人だかりができてるからもしかしたらなーって思ってたら本当にいたぞ」「開園前の遊園地前かな?」「ていうより遠足時の子供たちじゃないデスかね?」「多いなぁ・・・」と、ぶったまげて硬直している優人にいつの間にかいた吉田たちが思い思いの感想を言ってきた。
「なぁ、お前らこいつらが集まってきた理由わかるか?てか他クラスのやつまでいるじゃねーか!」
「それはな佐藤、なんかお前に着いてけば何かオイシイ思いができるって噂が広まっててな」「それが他クラスにまで広がっているらしいよ~」「ナンデ!?」
憤慨する優人に、吉田と加藤が集まってきている理由を聞かされ、彼は再びぶったまげて硬直してしまった。
「ぶったまげるのは結構だけど、肉放っておいていいの?、焦げるぞ」「あ”あ”っ!」
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「結局全部食われちゃった・・・」「「「「ハァ・・・・」」」」
あの場からトカゲのしっぽのように肉だけを置いて飛び去った彼は、これからどうしようかと考えていた。
オールにつかまれ空を漂いながらうんうん唸っていると、如月たちの声が聞こえてきた。
その声が聞こえてきて一瞬で如月たちの事に、即ち重要警戒存在への思考に切り替わり、うげっという顔をしてその声の方向へ耳を澄ました。
『このままでは埒があきません!決着はいかに魔物を多く倒したかで決めましょう!』『『望むところだー!』』
(またなんか変なことになってる・・・)如月たちの動きを把握しようとしたら、なんか変な奴が如月たちにケンカを売っているのが分かり、心底ゲンナリしながらその事の詳細を知るために耳を澄ますことにしたのであった。
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