30歳のボーダーラインをぶっ壊せ

@ao_kumoue

第1話 30歳の誕生日

オレは今日30歳のボーダーラインを超えた。


20代の頃に想像していたよりも、遥かに簡単にラインを超えられたことに、オレは少し拍子抜けをした。


あぁ、30歳になるってこんなもんか。

思ってた程の苦痛はない。

体調に変化もなく、

髪の毛も20代の頃のようにフサフサだ。

体力も落ちた訳じゃない。

周りからの、オレを見る目の変化も今の所ないし、

近所の子におっちゃんと呼ばれることもない。


昨日と何一つ変わることもなく、

部屋に置いてある、小さい置き時計のデジタル数字を、一人見つめている。


ん?あれ?見間違えか?

さっきまで0時5分だったのに、デジタル時計の数字が0時4分を表示した。


勘違いだと思いつつ、そのまま見つめていると、

今度は時計が0時3分を表示した。


え!?時計壊れた??

もし壊れたにしても、明らかに壊れ方がおかしい。

数字が逆戻りするなんてありえない。


0時2分


オレは寝ぼけてるのか?

瞼を強くこすってみたり、マンガでよくあるみたいに、自分の頬をつねってみたりするが、目の前の時計の数字は0時1分を表示する。


なんか、ちょっと怖い。


0時0分。


怖がる気持ちをよそに、

あ、オレの2回目の30歳の誕生日だ。

なんて、くだらないことを思いつき、一人でニヤける。



ピンポーンパーンポーン


お知らせします。

誠に残念ながら、あなた方は30歳を超えることに失敗しました。

つきましては、現世離脱準備期間へと移行します。

後ほど、担当があなたのもとへ派遣されますので、詳しくは担当より説明があります。


以上です。

繰り返しお知らせ・・・・・


え?

何今の??頭に直接響く音?声?

ん?30歳を超えることに失敗?

どういうこと?


全く意味がわからないし、理解できない。

夢見てるのか?

もう一度、強く頬をつねる。

痛い。。


23時59分。


23時58分。


未だ状況がよくわからず、さっきの「お知らせ」について考え込んでいたオレの意識が、


ドアをノックする音で現実へと舞い戻る

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