木の葉

ある☆ふぁるど

第1話

 木の葉は風に揺られていました。風と木の葉は友達でした。木の上で、生まれたばかりだった木の葉に最初に話しかけてきたのが風だったのです。

「やあ、こんにちは。元気かい?」

 風は気さくな性格で、誰にでもどんな生物にもそう話しかけるのでした。風に声をかけてもらった獣たちは、すぐに応えます。

「やあ、ありがとう。元気だよ」

 それは、森の生き物たちの合言葉なのでした。最初、そのことを知らなかった木の葉は、ひどくとまどいました。緊張して、慌てたあげく、

「僕はいつも元気です!」

 なんて叫んでしまい、周囲の生き物たちから失笑をかったものでした。その時の木の葉は、すごく恥ずかしくて、すっかり赤い顔になっていたのです。でも、風は笑いませんでした。木の葉のすぐそばを旋回しながら、

「いつも元気なら、それはすてきなことだよ」

 と、言ってくれたのです。そして、その時から木の葉は風が大好きなのでした。


 風は、いろいろな物語を知っていました。旅から旅を続けている風は、すぐにいなくなってはまた戻ってきます。前と同じ風がまた戻ってくるわけではありませんでしたが、みんなが木の葉のことを知っていました。

「やあ、こんにちは。元気かい?」

 そうして、風はいつも木の葉の見も知らない遠い世界の話を聞かせてくれるのでした。

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