遅い昼餉
腹の虫が盛大に鳴りそうなくらい空腹だった月影たちは、おいしい料理に舌鼓を打ちつつ、束の間の休息を得ていた。
「月影。さすがに今日は疲れたね」
食後の
「うん…………。これからのことを考えると、頭が痛いよ…………」
その言葉にうなずきながらも月影は、額に片手を当てた。
先ほどから何だかズキズキするのは、気のせいだと思いたい。僕は本当に、ここでやっていけるのだろうか?
「まあ、ここまで来てしまったら、自分ができることを全力でやるしかないね。それに、花国の朝廷の中でも群を抜いて優秀な
「えっ……そうなの?」
月影は、下を向いていた顔を上げ、柳桂の方を見る。
柳桂は、月影の驚きを浮かべた表情に、いささか呆れまじりに説明を始めた。
「えっ、知らないの? 指南役となってくださった方々はみな、その分野では超一流と都でも有名な方々さ。特に、
「へぇ…………。そうなんだぁ…………」
月影は、無邪気にうなずく。
滅多に王都・
「ああ。でも、いろいろとご苦労はおありだと思うよ。お二方とも、黄王家という花国で一番のお家柄のご出身だからね。畏れ多くも女王陛下であらせられますお母上の七光りだの、コネだの陰ではさんざんいう者もいるみたいだけれど、お二方の能力と努力は、私は本物だと思うよ」
私が言うのも本当はおこがましいことだけれども。
こうつぶやいた柳桂は、自分の湯呑みを手に取り、それに口をつけた。
なるほど。
黄王家のご出身ならば、さぞ気苦労も多いことだろう。
月影も、花国の大貴族・四神宗家が一つ、白宗家の齋家である珀本家の出。だから、黄王家の若き王子さま方のご心中を、少しばかりならお察しすることができた。
「まあ位や身分の高い者は、多かれ少なかれどうしてもやっかまれたりするからね。だから、多少は仕方がないと思うしかない」
思い当たるところがあるのだろう。
柳桂は、どこかあきらめたように、首を横にふった。
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