おまけ①用語など

おまけ・用語説明

※『年』など登場する単位は全て地球を基準に分かりやすいように表記しています。


①『ニンゲン』

 霊長類ヒト科動物。カタカナ表記なのは、ルーツが地球人類とは違っているから。便宜的にニンゲンという言葉を当てはめている。人間ではないが、生物としては殆ど同じ。平均寿命が200歳という決定的な違いがある。

 100万年の間、巨大な宇宙船『希望の繭』の中で世代交代を繰り返しながらレゾニアを目指して旅を続ける。

 所得による階級があり、宇宙船の中では非常に高度な社会を形成していた。

 貴族として扱われ、種族の中心であり政治的にも深く関わっているのが『直系』と呼ばれる一族。つまりは100万年前にレゾニアを発った際の一族の末裔。その内セマニ家とニーヴェア家は一度滅んでおり、貴族の地位は失われている。

 種族全体として非常に臆病な性格であり、自分と違う者、外の者、知らない者を無条件で『敵』と認識する傾向にある。科学力に優れており、肉体的には脆弱なものの、鉄や火薬、電気を使った強力な武器・兵器を用いて外敵を攻撃する。彼らの攻撃は基本的に取り返しがつかないことが多い。


②『希望の繭』

 ニンゲン達の乗る宇宙航行用の巨大船。球形をしており、上から見た大きさは約85,000k㎡と、ほぼ北海道と同じ大きさを誇る。

 内部は何百層とミルフィーユのように分かれており、頂点部分に貴族層、中央に市民居住区層、最下層に廃棄物処理区層など用途に分けて使われている。

 レゾニア人からは『悪意の繭』とも呼ばれている。

 100万年前の建造当時の物は殆ど残っておらず、また当時はもっと小さかったと考えられる。旅の途中で様々な惑星に着陸しては資源を蓄え、増築していったようだ。

 アヤムの家は市民層だが、空が見えたことから人気の端っこ部分に居を構えていたと思われる。

 動力は100万年前から変わらず『星の光』であるらしい。


③『レゾニア』

 ニンゲン達の目指していた地。約束の地、無限の大地、揺り籠などとも呼ばれる。

 惑星ではない。だが重力があり、大地が見渡す限り広がっている。

 勿論、本当に無限というわけでは無い。総面積は実際に測れないが、理論上の計算だと『約262兆3143億光年㎡以上』となる。なってしまう。そんな馬鹿な。

 つまりニンゲンが観測でき得る限りの、確かめる手段の無い理論上の面積である。ていうか目安でしかなく、本当の面積は不明と言った方がやはり正しい。

 地平線が無く、単純に空気の層の厚さで遠くが見えなくなるだけ。本来は永遠に真っ直ぐ見える。

 これに関して今後研究が進められてくれ。

 ニンゲンが着陸した地点は動植物の豊かな自然のある場所であり、近くに銀河並みに広大な水溜まりや惑星サイズの島があることも分かっている。

 未知の世界が永遠に広がっている。

 大いなる母レゾナンスが現れた地であり、全てのレゾナンス・ファミリアの故郷。


④『レゾナンス』

 大いなる母。完全な生命。全ての源。

 遥か昔に存在した、物質も生物も感情も含めた『完全なひとつ』。

 8つのファミリアを産んだ後、大いなる山となって活動の殆どを停止した。

 共鳴の意味を持つ。

 レゾニアの語源でもある。


⑤『レゾナンス・ファミリア』

 レゾナンスが産んだ8つの生命。

 (1)セマニの書記官。

 (2)ニーヴェアの観測官。

 (3)レティアの補佐官。

 (4)ヴェルデマールの大工。

 (5)カーヌスの航海士。

 (6)アランジェヴィの機関士。

 (7)ミンクの整備士。

 (8)アウルムの猟師。

 この内アウルムの猟師を残して、7つの家族が『完全な命』を見付ける為に空に旅立った。だが進化の過程で統合され『ニンゲン』となり、ファミリアでは無くなった。

 残るアウルムの漁師も、『司祭の心臓機』を用いた改造によって新しい生命となったので実質レゾナンス・ファミリアは絶滅する。

 アンビとルウェン以外のアウルムの猟師も、順次改造されに山を登るらしい。


⑥『アウルムの猟師』

 100万年前から形を変えずにレゾニアで生きてきた種族。

 ヒトの頭と胴体、獣のような四肢を持ち、胸に機械を埋め込まれている。

 頭は賢く、身体は狩りに適し、機械によって生命を維持するハイブリッドな生物。

 外から見えている胸の機械は『心臓機』と呼ばれる、正に心臓の役割を持つものだが、機械の臓器は心臓だけではないらしい。

 生殖機能が無く、生き物として不完全。機械の寿命と生命の寿命がリンクしており、心臓機の稼働が止まると死ぬ。その後死者の心臓機を『大いなる山』のレゾナンスへ捧げる儀式を行うと、壊れた心臓機と山の有機物を使って新たなアウルムの猟師が誕生する。

 現在存在するアウルムの猟師はアンビ以外全て、この儀式によって生まれた命。100万年前の『約束』が交わされた当時から生存しているのは『司祭』とアンビのみであった。

 性格は至って温厚で、警戒心が薄い。これは100万年間、天敵も居なければ外敵も現れなかった為だと考えられる。ニンゲンとは異なる価値観を有し、『美しさ』を重視しているが、その価値観すらニンゲンとは異なる。

 約束を忘れて戻ってきて、さらに200年間虐殺してきたニンゲン達を無償で許す深い愛を持っている。


⑦『心臓機』

 レゾナンス・ファミリアに埋め込まれ、取り付けられた機械の心臓。生体と完全に接合されており、拒絶反応を起こすことなく自然に身体に馴染んでいる。ファミリアはこの機械に生命維持の殆どを委ねており、その為これが壊れるまで殆ど不老不死で居られる。だがそのせいで生殖機能を剥奪されていた。

 他者に一部を分け与えることで、その他者にも心臓機の効果を受けさせることができる。だが一度取り外すと老朽化が早くなる。

 また、分け与えられた者も機械に生命活動を委ねることになる。さらに分離後もエネルギーとして繋がっており、一方が故障するともう一方も連動して故障する。つまり運命共同体となる。相手の状態や感情を受信でき、遠隔での会話なども可能になるようだ。


⑧『約束』

 空へ旅立った7種族、特にセマニの書記官とニーヴェアの観測官がアウルムの猟師達と交わしたもの。ほぼ不死とは言え生殖もできず、朽ちればいずれ滅びることを憂い、広い宇宙で『完全な生命』を見付けて戻ってくると誓った約束。

 それは個人の不老不死ではなく、子を残せるようになることで、生物として循環の輪に入ることを望んでいた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る