第43話

 

2人の刑罰と公爵家の跡取りについて決まったので一旦みんなでお屋敷に戻ってきた。

王様の兵士が既に公爵領に2人を捕らえに行っているらしく、明日ブランと夫人が騎士団に拘束され城に連れてこられる予定なのでそれに合わせて私たちもまたお城に向かう。


私は行かなくてもいいんじゃないの?と思ったけど、一応事件に立ち会ったから行かなくちゃいけないみたい。


きっと明日ブランと夫人に刑罰が伝えられて、ブランは幽閉されるだろう。

今までブランは領地の屋敷に住んで将来公爵位を継ぐためにお父さんの元で勉強していたと聞く。

ということはブランに変わって後を継ぐ事になったあおいさんもきっと領地での勉強が始まるんだろう。

そうなったら今までみたいに一緒にお店をやったり冒険者をしたりはできなくなるんだろうな。

きっと公爵様になったら私みたいな一般人とは会えなくなるだろうな。


そう考えると胸がチクチクと痛む。


あぁ、私、あおいさんが好きなんだ。


「なんで、こんな時になって気づいちゃうんだろう。」


これからあおいさんはお父さんの元で領地を治める勉強をして、爵位を継いで、公爵夫人に相応しいお嬢様と結婚して・・・。


そう考えると涙が止まらない。


「何泣いてんのよ、私。

あおいさんはキラキラで、顔面国宝級のイケメンで、地味な私とは釣り合わないって、住む世界が違うって、最初からわかってたじゃない。」


あおいさんがお店を辞めるまでに心の準備をしておかなくっちゃ。





今日も王城に行くからと念入りに準備をした。

昨日泣いたからか目が少し腫れていてメイドさんに迷惑をかけてしまったが、冷やしたり温めたりマッサージしたり、いろいろしてくれて目の腫れも全くわからなく仕上がった。


今は王城について謁見の間で捕らえられた2人が連れて来られるのを待っている。

私たちと王様と、他にも貴族のような人達と騎士が何人もいる。


「失礼します!

オルヴェーニュ家の長男ブランと夫人ミゼルダを捕らえて参りました。」


鎧を着た兵士たちに捕まり手錠をされた2人が連れてこられた。

ブランも夫人も捕まる時に暴れたのか、髪も服もなんだかぐちゃぐちゃで汚れている。

王様の前で膝まずかされた2人は王様なんて目に入らないとこちらに伝わるほど、あおいさんをものすごい顔で睨みつけている。

あおいさんは悪くないのに!


夫人は初めて会ったけど、ブランと同じ金髪に緑の瞳の、キツ目の顔立ちだけれどものすごい美人だ。

隣国のお姫様だもんね。

でも表情のせいで美しさも台無しだ。


「今回の、我が国の民を誘拐し隣国へ闇奴隷として販売をしていた件、申し開きはあるか?」


そう王様が威厳たっぷりの声で聞く。


「こんなの何かの間違いです!」


「そうですわ!

セレストに嵌められたのです!

穢らわしい平民の子に!!」


そう言って夫人があおいさんを指さす。


「今回誘拐犯のアジトの隠し金庫から証拠の書類も出ている。

ここにあるのはブラン・オルヴェーニュとミゼルダ・オルヴェーニュの判で間違いないだろう?」


そう言って王様が書類を見せると2人の顔が見るからに青くなった。


「ぎ、偽造されたんです!私たちは知らない!」


「もう全てわかっているのだぞ。

捕らえた誘拐組織も自白した。」


そう王様が言うと、もう何を言っても無駄だとわかったようだ。


「主犯の長男は我が国の国民を奴隷に落とし隣国に売り払っていたため生涯幽閉。

隣国の貴族と渡をつけた夫人は罰金白金貨10枚とする。」


その判決を聞いた2人はもう顔が青を通り越して白くなっている。


「お待ちください!

生涯幽閉など、罰が重すぎます!」


2人は必死に陛下に減刑を頼んでいる。


「我が国の、私の民を!

何人も奴隷にし売り払ったのだぞ!!

本来なら極刑でもおかしくはないが、ヒンメルの今までの忠誠に免じて生涯幽閉にしたのだ!

これ以上の減刑は認めん!」


そう王様に言われ2人は減刑も無理だとわかったのか力なく項垂れる。


「陛下、ここで陛下にお伝えしたいことがございます。」


これで終わった。と思ったら、あおいさんが王様にそう言った。


「申してみよ。」


「公爵夫人のミゼルダ・オルヴェーニュには私と姉エステルの母であるユスティアの殺害疑惑がございます。」

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