第32話



「すごい、大きい・・・。」


向かう途中から王都が見えていて大きいなぁとは思っていたけど、近くで見るとここまでとは。


「この国では1番高い壁で囲われているからな。

町の中も他と比べて高い建物が多い。

あと、あの真ん中に見えるのが王城だ。」


すっごい!

本当にお城がある。

地球で言ったら和風なお城じゃなくて洋風っぽいお城だなぁ。


王都は外側が平民の住む町になっていて、内側は貴族、真ん中に王族の住む王城があるらしい。

貴族の中でも中心に近いほど身分が高いそうだ。


とりあえず私たちは王都に入り昼食をとることにした。


《金の皿》


「ここは王宮で料理人として働いていた息子が後を継いで、さらに美味しくなったと人気の店なんだ。」


特にビーフシチューが美味しいらしく、2人ともビーフシチューとパンを頼んだ。


「疲れているだろう。

明日からは忙しいからな。今日はいつも泊まっている宿に行ってゆっくりしよう。」


明日はお姉さんに会いに実家に行くらしい。

てっきりあおいさんだけ行くのかと思ったら私も一緒みたいで緊張してしまう。

私は観光してるのでゆっくりお姉さんと会ってきてください!って言ったらお前を1人にさせていたら何か起こしていないか心配でゆっくりなどできない。と怒られた。

私は問題なんて起こさないいい子なのに、なぜだ。





「お待たせしました!」


身支度を整えてあおいさんと合流して宿を出る。

あおいさんの実家でお姉さんと会うんだもの、キラキラ顔面国宝なあおいさんとそのお姉さんにはどう逆立ちしても太刀打ちできないが、せめて見苦しくない程度にしなければ!と気合を入れて準備した。


「実家までは少し遠い、馬車に乗って行こう。」


はじめての馬車で王都の街並みを眺めながら移動ていると馬車が止まる。

ついたのかな?と思ったが兵士のような人に身分証を求められ見せると門が開いて中に入る。


あれ??

なんで街の中に門??

もしかして、昨日あおいさんが言ってた貴族街じゃないの?これ。

え、もしかしてあおいさん貴族??


「あの、あおいさんって貴族なんですか?」


「家はそうだが私が後を継ぐわけじゃないからな。」


「そうなんですか?

お姉さんが後を継ぐんですか?」


「・・・いや、女性は貴族家の後継ぎにはなれない。

兄がいるので兄が継ぐだろう。」


お兄さんがいる?

前に聞いた話しだとお父さんとお姉さんしかいないのかと思ったんだけどなぁ。


「義理の母と半分血の繋がった兄だ。

まぁ、あまり仲が良くないのでな。

だから私は家を出ているし、年に1度しか父とも会わないんだ。」


「そうなんですね。」


あおいさんも話しづらそうだし、これ以上は聞かない方がいいかも。


「それにしても、貴族街って華やかですね!」


「この辺りは王城に近いからな。

もうすぐ着くぞ。降りる準備をしておいてくれ。」


王城に近い?

あれ?

王城に近いほど身分が高いんじゃなかったっけ??


「ここだ、ついたぞ。」


「・・・ここが実家なんですか?」


窓から覗くと、見たことがないくらい大きな家。

聞いてない。聞いてないです、あおいさん。

ご実家がこんなに立派なんて。


なんか門が高くて門番まで2人もいる。

しかも敷地が広くて家まで遠そうに見える。

え。家?であってる??

家というのは申し訳ないくらいの豪邸なんだけど。


もしかして、あおいさんの実家ってものすごく身分が高いんじゃないの???

門番さんが門を開き、馬車のまま中に入っていく。


あおいさんのお姉さんに会うから見苦しくないようにって気合い入れてきたけど、これじゃあ意味がなさそうですよ、あおいさん。

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