【選択肢】グラウンドの場合

 彼は僕を軽々と抱きかかえ、校舎の外に出る。放課後なのでグラウンドは部活動をしている生徒でいっぱいだ。


 そんな中、僕はグラウンドの真ん中に立たされる。男子生徒の何人かが僕の周りに集まってくる。そして、Kは右足を少し上げ、かかとで僕を蹴った。あまりの痛みに身体を丸める。体の小さい僕は地面を転がる。

 

 さらに、周りにいた他の男子生徒までが僕の体を蹴り始める。僕は声をあげることもできないし、手も足も出せない。そもそも、そんなものは生まれた時から持っていなかった。何も抵抗できないまま、僕は地面を転がり続けた。


 するとある瞬間、体に強い衝撃が走った。Kのかかとだ。同時に、視界が回転する。Kの力は強く、僕は飛ばされるようにグラウンドの上を移動した。

 真っ白になりそうな頭の片隅で、笛の音が聞こえた。それからKたちが笑いながら何かを話す声も。


 これが僕の日常だった。今までだってそうだったし、これからもこの日常は続くだろう。

 だって、これがサッカーボールの宿命なのだから。

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蹴られる 小説版 須戸 @su-do

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