最終話 空に希望の花が開くとき ~ゆうすけより感謝を込めて

「これは、ヤバい」


 公開された第12話を読んで私はつぶやきました。私の畏敬する古川さんは3巡目も切れ味抜群の描写で、注文通りウザスとアルバの対峙を書ききってくれていました。しかも、最後にまたSCAから銀の翼が出てくるという含みのある引き。完璧です。


 しかし、残りは2話。含みを残している時間はもうありません。読者に解答を提示するべき時期です。


「古川さん!SCAの解析のシーンから始めようと思ったのに、ツインテ連れて行かれてるじゃないですか!」

「んー、すぐ戻ってくることにしたらいいですよー」

「敵の存在が全然分からないですよ、このままじゃ」

「みんな気にしてないからいいんじゃないですかぁ?」

「あのー、ミゼラリってツインテの娘じゃないんですよね?宇宙人にしちゃっていいですか?」

「えー!!まじー!!それおもしろそー!!全部書けたら読むんで、ネタばらししないでくださいね。じゃ、わたし寝るからー♡」


 ……ダメだ、この人、自分の分を書き終わって完全に緩んでいる……。


 その日から私の孤独な闘いは始まったのでした。最低でもタイトルの「2000光年」は回収しなくちゃいけません。


 そこは「希望の地」と言われていて、敵はそこから地球を攻めてきている。はっきりしているのはそれだけでした。


 しょうがない。私は禁断の奥の手、ウザスとツインテとミゼラリの関係性がはっきりしていなかった点を逆手に取って、ミゼラリを敵の女王の娘にしてしまうことにしました。その構想は11話を書いた時になんとなく思いついていましたが、あまりにすっ飛んでいるので封印していたのです。。


 ただそうなると地球と2000光年先の星の間で星間戦争をしていることになってしまいます。これはちょっとここまでの話のトーンに合いません。緩み切った古川さんに相談もできなくなった私は必死に考えました。それこそハゲるほど。


 そこで閃いたのが57号機が人を乗っ取るという設定と、意識だけとなって57号機と一体化しているオカッパリフィアの存在でした。


「戦闘機自体が生命体ということにすればいいんじゃね?」


 幸い、圧倒的な強さの敵「銀の翼」というのがすでにストーリーの要点を占めています。こいつが女王。ミゼラリがその娘。形になるかどうか半ば賭けでしたが、その線で書き始めたのでした。


 結果的に、ごまかした部分も多々ありますが、ちゃんとストーリーとしてはまるところまで持って行けました。みなさんが鼻血まみれで「なるほど、そういうことだったのか」と思っていただけたようで、ほっとしました。


 ◇


 今回のリレー小説、始めた時からすごいものができる確信がありました。


 基本的に私と交流があって、筆力のある方々にお声がけして始めた企画です。誰でも参加できる自主企画の形を取らなかったのは、執筆者の方のレベルの保証できなかったからでもあります。


 参加していただいた皆様、本当にありがとうございました。途中参加いただいた蜜柑桜さん、お忙しいところありがとうございました。あと最後まで読み手で応援してくださったあいるさん、新巻へもんさん、大臣さん、HanLuさん、桃みちみいかさん、その他のみなさんもありがとうございました。


 最終的に96000字にもなった「2000光年のアフィシオン」。賞を取ったり書籍化されたりすることは絶対にありませんが、私たちの心の中にいつまでも令和の夏の風景として残り続けるのではないかと思います。


 また、いつかみなさんと楽しいリレー小説をやりたいと思います。


 その時は、是非書き手としてご参加ください。鼻血と脱毛があなたを待っています!




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Y氏のリレー小説プロジェクト委員会 ゆうすけ @Hasahina214

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