説明

 『じゃみんなのってきたとこで最初のゲーム、jobゲーム行ってみよう!』

 『まてまて、自称神jobゲームって何だよ!』

自称神が勢いのままゲームを始めようとするので思わず話を止めてしまった。

 『また君かい、No.10……うーんみんな一度は勇者になって世界を守ったりしたいと思った事はない?jobゲームはそんな夢を叶えるゲームだ』

俺はそんな夢の様な言葉に興味をそそられながらも余りにも抽象的なルール説明に眉をひそめた。

 『自称神!それってどういう意味だよ?』

俺が疑問を唱えると、先程まで人影らしきものが映ってていたスクリーンが指輪を全ての指にはめた両手が映し出された。

 『この指輪一つ一つにはRPGで出てくるような職業の力が埋め込まれている。君たちにはこの指輪を一つずつ上げるからそれを奪い合ってもらいます』

自称神がそう言い終えると再びスクリーンが変わり中世ヨーロッパの街並みが俯瞰から映し出された。

 『ここは僕がこのゲームのために作った一つの世界君たちで言うとこの異世界、はじまりの街。円形にできたそれは東京ディズニーランド一つ分の大きさで厨二男子大好き武器屋からファッション敏感女子大好き服屋など数多くの店が出店しているとても楽しい街になってるよ。そして』

自称神がそしてと言ったタイミングでただでさえ俯瞰からのアングルがさらに遠くなり、さながらポ◯モンの空を飛ぶ状態のマップになった。

 『はじまりの街北側に森林エリア、西側に砂漠エリア、東側に廃墟エリア、そして南側に氷山エリアどれも人間が生き抜くには厳しい環境だが隠れたりするには便利なエリアになってるよ。この多種多様なマップを使って君たちの前世で言う一週間のサバイバルゲームをしてもらう。そして一週間後君たちが持っている指輪の中で一つ好きな職業を選んでもらい、それが来世で君の職業になるからよろしく〜。あと敗退の条件は君たちの前世で言う死でーす。でも実際には死なないから安心して殺しあってね。じゃ一週間後楽しみにしてるよ』

自称神のその言葉の後俺の視界は暗転した。

 ガルゥゥ!

犬とも猫とも言い難い鳴き声で目を開くとそこには小型犬ぐらいのサイズの羽を生やした犬がいた。いや?羽を生やした?今時は犬にコスプレさせる輩もいるらしいなー、犬のこと全然知らないけど。俺はコスプレ犬の頭を撫でるべく右手を伸ばすと

 『あっちぃ!』

コスプレ犬が俺に火を吹いた。間違いない、こいつコスプレ犬何かじゃなくてドラゴンだ。本当に自称神が俺たちを異世界に転生させたのか?あっ!俺の半信半疑は手の指を確認することで確信に変わった。左手の人差し指に緑色に光る指輪が付いていた。じゃ俺の職業って何だ?

そんな思考を巡らせていると俺のトラックに轢かれる前と同じ制服のポケットが振動した。

 『なんだ?』

ポケットから振動する物体を取り出すとスマホが出てきた。起動させるとそこには

 『ゲーム開始から五分経過したけど状況飲み込めた?君たちの低脳じゃ難しいかな?そんな君たち低脳ためにルール確認や自分の職業確認のためのスマホを用意しました。友達と会話も出来るから使ってみてね。あっ友達いなかったか、ごめんねー』

と長ったらしいメッセージが送られてきた。この腹立つ口調送信主は間違いなく自称神だな。俺は腹立つ文面に多少の苛立ちを持ちながらもスマホに手を滑らせる。

 『ルール

 制限時間は一週間

 指輪の中に職業の能力が埋め込まれているため指輪を外すと己の能力が使えなくなる

 他のプレーヤーの指輪の能力は付けても使えないので注意

 一週間後にはめていた指輪の中から好きな職業を一つ選ぶ事が出来、それが来世の職業となる

 この世界の基本通貨は円とし一秒十円自動的にスマホに送られている

 バイトやイベントなどでお金を稼げる

 敗退条件は君たちの前世での死』

俺はこの文面を咀嚼し自分のものにした。円は最初に5000円入っているようで中々の金額だ。俺はさらにスマホをスワイプしお目当ての物を見つけた。

 『あなたの職業は盗賊です。他の職業を盗める。感覚で感じれば感じるほど相手の能力をより精密に盗める。一度盗んでも別の職業を盗んでしまうと使えなくなってしまう。盗みたい職業に手をかざしシークと言うと盗める』

 『ハァーー。盗賊か』

俺は人のいない裏路地で大きなため息をついた。何かドラゴンもいるみたいだし、どうせなら竜騎士にでもなりたかったぜ。俺がそんな悪態をついていると再びスマホが揺れた。

 『っ何だよ?』

俺が再びスマホに目を落とすと思わず絶句してしまった。

 魔法使いが自害しました。残りプレーヤーは9人

 

 

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