暗転
翠が茉里の前に現れたその時、病院のすべての灯りが消えた。医療機器や非常灯は点いていたので、病院の電源が落ちたわけではない。
茉里はびっくりして立ちすくんだ。しかし、目の前に現れた翠は、茉里の手を強く引っ張って廊下を走った。
「翠さん?」
訳が分からない。翠に声をかけるが、走るだけで精いっぱいだった。
茉里は翠に連れられて病院を出た。誰もいない夜の駐車場に出ると、息を切らしている茉里に、翠が言った。
「私たち、追われていた」
「追われていた? 誰に?」
聞き返すと、翠は悲しそうな顔をした。駐車場のライトに照らされて、その顔は青白く見えた。
「私たちを追ってきたのは、壮太。そして、私の代わりに死んだのも、あの子だったの」
「翠さんの代わりに死んだ?」
翠は、頷いた。
「この病院の近くにファミレスがあるから、そこで詳しいことを話しましょう。ペンションはもう、半年も前に焼けてしまったから」
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