第8話 深夜 - 奇妙な一言

8月16日

午前4時


いきなりなりゆきが、ハッキリした声で話し出した

「お父さん、ぼく足がなくなった夢みたよ」と。


意識が無い状況でしゃべった事もそうだが、その内容に愕然とした。


「かわいそうに、とうとう下半身の感覚が無くなったんだな」と思うと涙が止めどもなく溢れてきだした。


「この足ももう使われることはないんだなあ」と思い両足を丁寧にさすった。


看護婦さんが「お父さん、今確かになりゆき君が話しましたよねえ。今は意識が無いから決して話できる状態ではないんですけど・・・」


それっきりなりゆきは無言であった。


今思ってもあの時の発言は何だったかと不思議に思う。


夢かとも思うがプロの看護婦さんも聞いているので夢や幻聴ではないと言うことであるが。


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