第5話 0歳児と参加するコミティアのスペース、どう申し込む?(前編)

3.サークル参加申込み

◆ミッション:こぐまちゃんを寝かせておける場所を確保しよう◆


 お宿も新幹線も、手探りながら確保した熊一家。この旅でメインのレジャー(?)となる、サークル参加申し込みを考えました。

 そもそも、みちのくコミティアに参加しようと思ったのは、東京のコミティアのように「子連れスペース」があるから。後ろには畳が敷いてあって、子ども連れのサークルさん同士で助け合えるという安心感のあるスペース。

 ……でも、待てよ? 子どもと言っても、年齢は様々。0歳児連れの熊一家が、本当に助け合えるのだろうか。うーん、うーん、、悩みました。



・お悩み1:0歳児問題

 旅行とは少し話題が逸れますが、熊はこぐまちゃんが3カ月の頃から、週に1回、近所の児童館へ遊びに連れ出しています(※1)。そこで痛いほどに感じているのが、年齢が低いほど、周りにも気を遣わせてしまうことです。

 0歳児と一括りにしても新生児と1歳近くでは体つきも行動力も段違いですし、子連れで一括りにしてしまうともっとですよね。年長さんともなると5歳ですから、人間(5歳児)と、人間になりきれていない、ふにゃふにゃした謎の生物(0歳児)が同居する場になるのです。

 児童館でも2、3歳くらいの子が走り回っていると、ママさんはよく「赤ちゃんがいるから、気をつけて!」とか「赤ちゃん寝てるから、静かに遊びなさい」とか、せっかく広い場所に遊びにきた子がママにお小言を言われているのも可哀想ですし、何かのはずみで軽く接触しただけでも0歳児はびっくりして泣き出してしまったりもするものですから、泣かせてしまった子のママさんは謝るしかないわけで、それがとても心苦しいのです。

 まあ、児童館はそういう場所ですし、職員さんがその辺はきっちり見ていて、そういった子の気持ちをちゃんとフォローしてくださったり、今走り回っている子にも0歳の頃があり、0歳のこぐまちゃんも1年、2年後にはそうやって走り回っているだろうから、お互い様と思えるのですが……。


 そんな、日々感じているほんの少しの後ろめたさが、イベント申し込みの手を止めてしまいました。

 もちろん「そんなの気にしないよ、お互い様でしょ?」って思う方が参加することは分かっているのです。分かっているのだけれど、参加要項に書いてある「お互いの子供の世話で協力し合える人のみ申込んで下さい。」という項目に対して、0歳児連れで協力し合えるのだろうかと、腰が引けてしまう熊でした。



・お悩み2:お昼寝問題

 こぐまちゃんは、かなりお昼寝が長いタイプの子です。午前中に1〜3時間、午後に2〜3時間。育児書には「夜に眠れなくなってしまうので、お昼寝は適度な時間で起こしましょう(※2)」などと書いてあるのですが、こぐまちゃんはお昼寝がっつりしても夜ぐっすり、夜泣きもしないという謎体質のため、好きなだけお昼寝させています。そのほうが熊も自由時間が確保できますしね……! ていうか、夜泣きしないだけで育児がかなりイージーモードなんですけど!? ありがとうありがとう!!

 おっとっと、気を抜くとつい、こぐまちゃんの手の掛からなさを力説してしまうので、話を戻して。


 で、そのお昼寝をどこでさせるか。

 スペースの後ろに畳があると言っても、そこでずっと寝かせていていいのか? いや、それはやっぱり迷惑になるよね? もし寝かせておけたとしても、0歳児を寝かせておくには、不慮の事故(※3)を防ぐためにも隣に大人が一人ついていなくてはいけない。子どものための共有の畳スペースに、大人がずっと陣取っているのはやっぱり良くないよね? なんて、ぐるぐる目になりそうなくらい考え込む熊。


 では、ベビーカーで寝かせておけばいいのでは?

 ベビーカーはリクライニングでフラットになるタイプですし、サンシェード付きなので覆えば暗くなり、こぐまちゃんが眠ればそのままベッド代わりになります。

 今までも、お出かけの最中にベビーカーで寝てしまうことは良くあって、少しくらい外がガヤガヤしていても起きることなく、寝心地は良好なようです。

 でも、じゃあそのベビーカーはどこに置いておけばいいのか? サークルスペースにベビーカーなんて大物を置けば周囲のサークルさんの邪魔になるだろうし、そもそも置ける場所なんてないのでは? あれっ、そういえば会場って、ベビーカーで入場してもいいの?? えっとえっと……ぐるぐるぐる。


 もうね、自分で考える想定の限界を超えました。どんなに考えても分からないし、もしかしてやっぱり、0歳児連れでサークル参加なんて無理じゃないかな? とも思えてきて……。

 ここは思い切って、イベントの主催さんに相談することにしました。



***

 本当にもう、子連れってこんなにいろんなこと考えなきゃいけないのか……ということを思い知った熊。果たして無事にサークル申し込みできるのか? 相談の返信は?? 次回第6話「0歳児と参加するコミティアのスペース、どう申し込む?(後編)」をお待ちください。



***

※1:児童館

自治体が管理している、18歳までの子どもが遊べる屋内施設。未就学児は大人の付き添いが必要ですが、合わせて専門の指導員さんが子どもを見守ってくれたり、話し相手になってくれたりします。

熊の通っている児童館には、0~1歳半までの子が遊べる「赤ちゃん時間」があり、保育士の資格を持つ職員さんが年齢に合ったおもちゃを用意していたり、絵本を読んでくれたり、レクリエーションを企画してくれたりしていて、たいへんお世話になっています。


※2:お昼寝

月齢(成長)によってお昼寝に推奨される時間が違うのですが、イベント開催時のこぐまちゃんの月齢(11カ月)の場合、朝昼合わせて2時間くらいのお昼寝が良いみたいですね。

今この文章書いている時点でこぐまちゃんは1歳2カ月の後半ですが、まだまだ、朝2時間・昼2時間くらいは余裕で寝ております。寝る子は育つ……と信じて。


※3:お昼寝中の不慮の事故

寝っころがっているこぐまちゃんに、誰かが躓いてしまったり、こぐまちゃん本人が寝返りをごろんごろん打ってどっかに行ってしまったり、荷物をこぐまちゃんの上に落としてしまったり、ビニール袋が顔にかかって窒息してしまったりと、色々と危険があるので、安全を確保した場所でない限りは、目を離すことができません。

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