第3話 趣味が合うって

小説家だって書くだけじゃない。

もちろん話題の本や自分がライバルだと思っている(一方的にだが)作家の作品を読んだりもする。

そうなると他人の評価なんかも気になってきたりするわけで……。


「……さて、と」


原稿用紙とのにらめっこ以外に、わりと欠かさないことがある。


「本の声と僕の声」


その名前が付けられたサイトを見ることだ。

個人でのサイトのようだった。

いわゆるネットサーフィンをしていて見つけたのだが、それ以来よく覗いている。


読んだ本の感想が書いてあるから、俗に言うネタバレの要素を含んでいた。


……ただ、驚いたことに俺自身と読む本の趣味がガッチリと噛み合った。

感想は違うこともあったが、彼の意見や感想はなるほどと思えることもあり、不思議と納得もできた。


そして嬉しいことに俺の書いた本まで読んでくれていたのだ。


こんな人と本の話をしたら楽しいだろう。

刺激になって原稿が進むかもしれない。


喫茶店が好き、コーヒーが好きというところまで似ていて、ふと思い付いた。


──あの喫茶店で本の話をしたいな。


気が付くと、メールを出していた。

これくらい原稿もスムーズに書けたらなぁなんて思いながら笑ってしまった。

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