異世界テスト

世界三大〇〇

第1話 ぱふぱふは異世界への片道切符

『東京異世界ランド』の白い部屋で、太一にぱふぱふをさせたあと、気を失ったしいか。今、斜に構えて異世界への入り口に立っている。目の前にいる女神と名乗る存在に反抗しているのだ。


「とにかく、これから異世界テストをします。」

「何で、テストなんかしないといけないのよ!」


 異世界テスト。しいかは聞いたことのないテストの受験を勧められて、女神に反抗する。しかし、女神は自分のペースを一切崩すことなくテストについての説明をする。その内容は、ちょっと気まずい状況が2つ同時に襲うのをどうやって切り抜けるか、というもの。どんな気まずい状況に陥るのか、しいかは内心不安がる。だが、反抗期だけあって、それを隠して素直にテストを受けようとしない。


「女神なんだから、テストなんかしなくても良いんじゃないの!」

「そうですね。私にとってはそうかもしれません」


 女神はしいかに応える。そしてテストを受ける目的を明かす。


「しいかよ。貴女自身が貴女自身のことを客観視することはできません」

「私が私を客観視する……?」

「そうです。だからテストを受けるのです」


 そして、女神のはなしは続いた。テストを受け自分を客観的に評価することで、自分の特性を知り、異世界での生活の目標をはっきりとさせ、主体的に行動すること。テストを受ければ、それが分かるというのだ。


「私の人生の目標……。」


 しいかは困惑した。目標なんて今まで考えたことがなかった。金魚として生まれ、縁あって太一の元で暮らすようになり、まりえや優姫、まことと出会った。そして気が付いたときには擬人化して、あおいやあゆみ、アイリスと言葉を交わすようにもなった。その生活はしいかにとって、とても楽しかった。サバイバルゲームで共に戦ったことも、東京異世界ランドでパレードを目指して行動したことも、全て輝いていた。いつもは反抗的な態度をとるしいかだが、本当は太一やみんなのことを信用し、信頼している。みんな一緒にいれば、無敵になった気持ちでいるから、堂々と反抗できるのだ。だが、人生の目標と言われてみれば、そんなものはなかった。しいかの脳裏にみんなの笑顔しか浮かばなかった。


「みんなでワイワイ楽しく暮らしたいってだけじゃ駄目なの?」

「ふふっ。それは、貴女自身が自由に決めること」


 自分の行動を自分で決められる、自由。反抗期のしいかが求めていたものだ。なんて素晴らしいことだろう。そう思わないわけではない。だが一方で、自由と同時に突き付けられる責任から、逃れることができなくなる。そんな不安が過る。


「じゃあ、はじめるわよ!」


 容赦のない女神が指をパチンと鳴らすと、勝手に場面が変わる。

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