俺の横顔が好きなキミは真正面の俺も好きでいてくれる

コユキ

第1話 朝。


ジリリリリ…ジリリリ…

「朝です。置きましょう。朝です。置きましょう」


「…ん、うるさいなぁ。さっき寝たばっかなのになんでアラームなんて鳴って…って!え!もう8時!?やっべぇ!」


そう、俺は今とてつもなく焦ってる。

遡ること12時間前。午後8時、俺はグループで出された課題を"わざと"忘れてしまっていた。正直忘れたというより、忘れたかったのかもしれないけれど。

いつもはそんなことないのにテーマがテーマで……


え?どんなテーマだって?

"人は見た目で好きになるのか、それとも中身で好きになるのか"っていうやつ。


考えれば考えるほど訳が分からなくなってきて、気づいたら日にちをまたいでいた。

彼女いない歴19年の長谷川晴樹様にこんな問題辛すぎるだろ。

まぁそんな経験不足のせいでこんなことになったのだけれど。しかもその授業が朝からだからこんなに焦ってるって訳。

ただでさえ3年生からは楽したいのに、このテーマのせいで単位がなくなるのも癪に合わなかった。


「えっと…昨日のレポートもいれたし、定期と筆箱、スマホスマホ…」


ベッドの横に充電してあるスマホを見てみると、新着メッセージ1件と表示されていた。


「晴樹、今日お母さんとお父さんご飯食べに行くから適当に済ませておいてね。いってらっしゃい。」


「母さんと父さん、また一緒に出かけるのか…いつまでもリア充だな…」


…本当にあの人達の子供なのか疑いたくなる時がある。


「はぁ。そろそろ行くか。」

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