第3話(注意、長文です)

すこしだけ時間をくれませんか?

きっと、すぐ終わります。

でも、もしかしたら長くなってしまうかも。

すみません。


出会であってから、

もう半年以上経ちましたね。

つめたい空気の冬の日でした。

きっと、貴女は覚えていないでしょう。

貴女あなたはいつも通りでしたから。

って、何だかこんな風に話していると

れますね。そう、それで、ここに

る度、会えないかと期待していました。

だって、貴女の笑顔は

最高さいこうでしたから。

いつの頃からか、そんな風に思ってました。

とても、素敵で……。

反対はんたいにわたしは

いつも、中途半端な表情だった気がします。

いえ、貴女が悪いわけではないんです。

満面まんめんの笑みで返したかったです。

折角せっかくなんですから。

ん~、言いたいことがなかなか


簡単かんたんにはまとまらないですね。

何故なぜでしょう?

わたしは貴女のことをほとんど知りません。

名前なまえも、年齢も、何も……。

いま、知っているのは

ここで働いている、ということ。

一体いったい貴女は何に喜び、何に笑うのか、

だなんてそんなことを考えていたりします。

時々ときどきにしか会えないけれど、

仕方しかたないって分かっています。

って、そうじゃなくて……。

天使てんしのような素敵な笑顔、

いつもありがとうございます。

累積るいせきされていく

数々かずかずの貴女の笑顔。

ラッキーなことに


たくさん、いただきました。

駄目だめになりそうな日も

貴女あなたのその笑顔を思い出すだけで

なんとかなりそうでした。

たとえ、どんなに辛くても

頑張がんばれたのは

笑顔えがおを見られたから。

頑張がんばれなくなりそうでも、

おもい出すだけでよかったんです。

でも、貴女はきっと違う。

いいんです。分かっています。

店内てんないで見かける貴女。

苦労くろうもある中で目が合うと、

れいと共に挨拶をしてくれる。

連綿れんめんと続く生活の中で

バカみたいなわたしのことなんて

一切いっさい思い出さないでしょう。

いやなことがあった時なんて


それこそ思い出してはくれないでしょう。

仕方しかたないですよね。貴女にとってわたしは

適当てきとうに街中にいるモブの様な

存在そんざいなんでしょうから。

劣等感れっとうかんに苛まれながら、貴女

を探していました。

つけられたときは

ラッキーでした。

連続れんぞくして会えない日も

連続れんぞくして会えた日も

バカみたいに一喜一憂していました。

そんなわたしを

憐憫れんびんの眼差しで見ないでください。

だって、泣きたくなるじゃないですか。

喧騒けんそうの中、

できないことばかりを考えて

満足まんぞくしていました。

ん~、手短に話そうと思っていたのに、

続々ぞくぞくと話したい事が出てきてしまいます。

苦行くぎょうかもしれませんが、

できればもう少しだけ、付き合って下さい。

すこしだけですから。でも、


どうしてでしょうね。

うまく話がまとまりません。

覚悟かくごを決めて来たはずなんですけど。

こうして貴女を目の前にしてしまうと、

練習れんしゅうをしたはずなのに、

簡単かんたんにはできませんね。

らくに話せればよかったんですが、

もう、言いたいことも

あまり分からなくなってきました。

中身なかみのないことを

ただ、思い付くままに言ってしまうだけで。

荷物にもつの様な無駄話や

絵空事えそらごと

願望がんぼうなんて全てなくして、

おもいだけをただ、

貴女あなたに伝えるつもりだったんです。

不思議ふしぎに思うかもしれませんが、

レスポンスはいりません。

ルールなんてないじゃないですか。

自分じぶんが伝えたら答えないと、なんてのは。

ん~、その、それに、

折角せっかくこうして時間を作ってくれましたし、

いい思い出にしたいですから。

我慢がまんなんてしたくないですし。

おとこの涙なんて

到底とうてい見たくないですよね?

ずるい、ですかね?

練習れんしゅうみたいに上手くはできないですけど、

まっすぐに伝えたいです。

素直すなおなわたしの気持ちを。

余計よけいなことはもう、言いません。

上手うまく、言えないかもしれません。

二度にどは言えません。……好き、です。

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