第3話 普通君の才能

何もかも平均であるというのも、私ならかえって器用な人だと感じる。何でもかんでも平均的にこなすことが普通だという考えは間違いである。当然私にはとてもできない。だからこそ彼の「何もかも普通」という一見月並みな個性を一種の才能だと捉えるのだ。

このことから分かるのは、「対象のものが普通か否かを判断する基準は個人個人の持ちうる価値観に依存しており、それは自分の性格や色眼鏡といった個性なしには存在し得ない」ということである。先ほどの普通君に対する見解もまた、言ってしまえば単なる私の独断に過ぎないのだ。

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