第17話

東部戦線北部戦域

かつては帝政時代の都ピエトログラード。往時の繁栄は露と消え現在かつての宮殿には双頭の黒竜の軍旗とアマーリエ殿下の紋章の交差する剣をライフルに替えた物が翻る。通りを行き交うのはトラックやジープ、それにオートバイだ。服装から帝国軍憲兵隊と言う事が分かる。


「貴様は?」


「はっ、小官は連邦軍第4親衛大隊に所属するカミンスク大尉であります。」


スペツナズの第447特務戦群所属、第17支隊所属の筈だ。カミンスク大尉はこちらの内通者である。ピエトログラード陥落の折にこちらに迎え入れた。大尉の指揮下にはとファチェフスキー元帥の支配を気に入らない、有志諸君が500人いる。


「カミンスク大尉。貴官を帝国陸軍大尉に迎え入れロクソニア旅団に編入する。」


だが、下っ端は兎も角カミンスクだけは信用ならないと准将閣下は仰っていた。その時、銃声がした。


「っ!構えろ!」


MP40のコッキングハンドルを引く。同時にカミンスク大隊の兵隊もし渡し小銃に初弾を送り込む。


「カミンスク大尉、ご苦労。」


「チェーカー!」


直ぐに銃弾をそちらに向けばら撒く。マンドリンを構えた兵士が約500人。モシン・ナガンを扱う兵士が粗同じ数。

カミンスクはセミオートライフルを構え周囲の兵士に銃弾を連射する。


「こちら、ロクソニア旅団野戦憲兵隊ラインピッツ少尉!敵兵1000名浸透!魔術師も一個小隊いる!」


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『HQより各部隊、敵兵1000名の浸透を許した。恐らく難民に紛れたハズだ。近隣の部隊は急行せよ。』


「グラーフ01よりHQ。急行する。見逃した馬鹿は叩き殺す。」


グラーフ01、ロクソニア旅団長閣下でもある俺が伯爵位という事で俺が大隊長を兼務する増強大隊はグラーフ大隊の呼出符号となっている。

野戦憲兵や帝都から派遣された憲兵隊には難民を一人一人確認する様厳命していた。1人2人なら兎も角1000人も見逃すとは怠慢だ。


すぐさまライフルを構え、飛ぶ。

数分後眼下には1000名程の歩兵に魔導師4名が憲兵隊の立こもる建物にばんばん弾をぶち込んでいた。直ぐに対人用炸裂式を展開。セミオートに回したセレクティブファイヤのまま1発ぶち込む。見事というか外すわけも無いのだがど真ん中に着弾し周りをズタズタに切り裂いた。即応命令を受けていた予備魔導猟兵中隊が数秒で戦域に突入すると連絡が有った。ジープで空挺大隊も急行中。

勝ち目はない。


魔導師は慌てて上がってくるが完全に的。訓練にもならん。魔道装甲どころか常時展開の防核すらままならない。ダブルタップで終わりだ。

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