第8話

1940.5.10第1作戦開始。西方軍に先駆け、ネーデルクス地域の制空権を獲得。

同5.20第一作戦完遂。第一独立遊撃大隊は破竹の進撃を続け、大隊全体で180撃墜。

同5.24第2作戦開始。同日共和国首都ルテティア陥落。

同5.30第3作戦発令。

同6.5第2作戦完遂


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「バビロン大隊各位!これより共和国軍主力離脱の阻止に向かう。帝国よ永遠なれ!」


『こちら西方軍航空魔導部隊各隊よりバビロン大隊へ我々は陽動に徹する。』


「了解。感謝する。」


復讐に燃える我らは共和国軍主力離脱の集結地ダンケークを包囲している。既に海上は北洋艦隊が、機雷を敷設し連合王国の本国艦隊の救援を防ぐ。航空機は圧倒的な対空兵器の集中運用でほぼ全てが地に落ちる。


「バビロン03より01。最後の敵航空部隊と推察される一個連隊規模を視認。」


「バビロン01より各位!分かっているな、叩き潰せ!」


新兵器の突撃銃のチャンバーに初弾を送り込み術式を展開する。爆裂術式を用意。


「各位。斉射!」


彼らには後がない。故に覚悟を持って吶喊してくる。斉射で、一個中隊が落とされてもまだ進む。引くことは出来ず、死んでなお進む気概を持つしかない。


「光学系狙撃式用意。撃ち方初め!」


大隊分の小銃弾が術式を纏い、突き刺さる。

疲弊し、物資も残弾も乏しい乍、連合王国が確約したダイナモ作戦の発動まで耐久戦闘を強いられた彼らは士気は高揚なれど、継戦能力の欠落著しく、接敵から30分、敵残存魔導部隊は全滅。こちらの損害は1名の後方離脱のみ。そのまま勢いに乗りAAA対空兵器を破壊。その後、マンシュターン将軍の第4装甲軍団がダンケークに侵入。共和国は降伏。西方戦に一定のケリをつけた。


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共和国対帝国無条件降伏

1.共和国軍は武装解除され、再武装は帝国の管理下においてのみ開始される。

2.エルザース=ロマーゲンの請求権を永久放棄する。

3.南方大陸植民地の八割を帝国に譲渡する。

4.100年間の不可侵条約を締結する。

5.共和国は帝国の主導する大陸同盟に加盟する。

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第4作戦発動

西方軍や地中海艦隊に共和国地中海艦隊が我々と協力して連合王国に対して攻撃を開始すると言う偽電を打つ。合流地点はダカール、既に共和国地中海艦隊と帝国潜水艦隊が展開中。


「クロイス少佐、本当に連合王国海軍は我々を攻撃するのかね。」


俺率いる第一独立遊撃大隊、西方軍所属の魔導師が艦艇に同乗している。


「ええ、帝国諜報局が掴みました。」


俺は戦功から1級鉄十字勲章を与えられ即応司令部付遊撃参謀に任命されている。


「フリッツ中将閣下!潜水艦より無電です。…連合王国海軍戦艦6、巡戦8、空母2を含む大艦隊が接近中。」


「誠に申し訳ありませんが、国際法的にはこちらの艦隊に対しての攻撃がある迄主力は動けません。我々は直ぐに飛びますが、地上からの対艦攻撃機は少々お待ちください。」


「ああ、本当に来たのだな。各艦に連絡。準戦闘体制に移行せよ!」


共和国地中海艦隊は戦艦2巡戦1空母1と戦力差は大きい。出航が始まり視認するまでに戦闘体勢を整える事が出来た。


『こちら連合王国大西洋艦隊である。貴艦隊に告ぐ、投降せよ。』


「我々の返答はこうだ!」


戦艦の主砲が随伴の駆逐艦を2隻沈める。この時点で対艦攻撃機隊に離陸要請を出し駆逐艦からの応射を確認し俺は部下の待つ甲板に向かう。


「諸君!何も言う事は無い。出撃!」


Magie Jäger marschiert in Feindesland

Und singt ein Teufelstlied

Ein schütze steht am Oderstland

Und leise summt er mit

Wir pfeifen auf Unten und oben

Und uns kann die ganze Welt

Verfluchen oder auch loben

Grad wie es ihr wohl gefällt

Refrain

Refrain

(Wo wir sind da ist immer vorwärts

Und der Teufel der lacht nur dazu

Ha ha ha ha ha ha!

Wir kämpfen für Reich

Wir kämpfen für Kaiser

Der Gegner kommt niemals zur Ruh')


無線から流れてくる1人の歌声に呼応し我らは軍歌を魔導部隊、帝国魔導猟兵の軍歌を歌い上げる。歴史ある、連合王国のトラウマを刺激するこの歌を。この曲は植民地戦争の際連合王国と帝国が対峙した最大の戦闘、モラーゲンの戦いで僅か100名の航空魔導部隊によって4個師団が屠られた連合王国屈辱の戦いの際に初めて歌った曲である。


「バヒロン01より各位。蹂躙せよ!」


対艦攻撃術式で戦艦の艦橋と空母の甲板を狙う。事前の分担では俺達が空母とある程度戦艦を黙らせ、残りは対艦攻撃機隊なのだが。


「我々が沈めても問題無いだろう。行くぞ!」


空母と戦艦1ずつが急速に傾き沈んでいく中、駆逐艦を2隻沈め、対艦攻撃術式の射撃の集中によって戦艦をさらに沈める。

到着した対艦攻撃機が駆逐艦3隻と戦艦3隻を撃沈する。海面を走る魚雷が戦艦に突き刺さり、割れて海中に消えてゆく。


『こちら帝国海軍大西洋艦隊より各位。これより空母機動部隊の艦載機群が支援する。』


グラーフ・ツェッペリンか!艦爆55に艦攻20を搭載し対艦攻撃支援特化で参加してくる。

護衛の戦艦2に駆逐艦15、巡洋艦8は全て新鋭艦であり、戦力は高い。


「感謝する。大隊各位、わかっているな?」


『『『ヤー、殲滅してやりましょう!』』』


空母の艦載機が到着すると連合王国海軍、ロイヤルネイビーは全滅した。

共和国地中海艦隊の生き残りは空母1と補助艦のみ。なれど連合王国への不信感は植え付けられた。


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「どうする?連合王国は自由共和国軍を宣言して対帝国包囲網に参加しろと要望があったが。」


「私は反対だ。支援する筈の連合王国は我らが誇りある共和国地中海艦隊に攻撃しこれを救ったの帝国大西洋艦隊に地中海艦隊だぞ。」


共和国南方植民地総督が主催し植民地各州の総督が集まり今後の方針を決めている。


「北部植民地総督殿に賛成だ。私もライミー共は信用出来ない。南方植民地総督殿に臨時共和国大統領を兼任して頂き、帝国と協調路線が必要だと考えている。」


5人の総督の内南方植民地を統括する南方植民地総督と北部総督、西部総督は親帝国路線に傾き、残り2人も強固に連合王国に義理立てする理由はない。このまま、帝国との協調で決定するかと思われた時。


「総督閣下方!アルジェでマリ・ド・ルーゴ少将が反乱を宣言!植民地第二軍が動きこちらに接近しています。」


「そんな!まさか。」


「これは…。」


「ああ、そうだ。」


「帝国の…」


「かの少佐の言う通りだ。」


「第1軍、第3軍に命令。共和国の誇りを穢す輩に鉄槌を!帝国大使館へ我々は帝国との関係強化を宣言する!」




そうして今日では共和国内戦と呼ばれるこの戦いは歩兵二個軍団と機甲軍団1個の第二軍に共和国臨時政府軍二個軍はローメル中将指揮下の帝国南方植民地軍1個装甲軍団の支援を受け、勝利。以降、共和国と帝国は信頼関係を築く事になる。


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「ヨハン・フォン・クロイス少佐。貴官に柏葉剣付騎士鉄十字勲章を与える。」


「海軍からは海軍功労賞を授与する。」


「帝室から1等黒鷲勲章を与える。」


陸軍総司令官ヴィルヘルム・ヨードル元帥閣下に海軍総司令官エミル・デーニッツ大将、アマーリエ殿下から夫々かなり上級の勲章を授与される。元々植民地総督は左遷で送られている人間が多く、植民地利権を失おうと本国の利権を保有していた者達が死ぬか失権している現在なら本国利権を得られると踏んだ各総督は我らに着いた。忠誠心はあれど、嫌われているド・ルーゴ如きに勝機は万に一も無い。完全に共和国を制圧し大陸において圧倒的優勢を得た。ここで明かそう。俺は転生者だ。前世は戦史好きの軍事学者擬きだった。前世の知識を総動員し今まで戦ってきた。この世界の帝国はドイツのような国家ながら、大きく違うのはNSDAPの様な物が誕生していない事である。

学者に助言してやり中東で石油の採掘が始まり帝国の資源に余裕がで始めた。帝国政府と軍首脳部は連合王国からの打倒で合意。空母機動部隊で制空権を獲得。戦艦艦隊で本国艦隊を誘引する。


その先駆けとしてバトル・オブ・ブリテンを発令。魔導部隊、空軍がアルビオンの空を駆け制圧を狙う。

制空権は5分。なれど本国艦隊を北海に誘引し大陸海峡は大西洋艦隊と北洋艦隊で制海権が完全に取れる。


『ノルマルディーコントロールより作戦参加各部隊、Unternehmen Seelöwe発動!』


ゼーレヴェの発動により第一、第二降下猟兵師団が降下し攪乱に入る。


帝国軍は現在旧態全とした方面軍体制からABCDの4つの軍集団体制に移行した。

A軍集団は旧西方軍からなる連合王国攻略部隊である。司令官はフォン・マッシュタイン上級大将。

B軍集団は北方部隊や東方軍の一部からなる北方領土や本国の連邦国境線北部を担当する司令官はフォン・ルントシュテト大将。

C軍集団は連邦国境線南部と対ダキア担当。

司令官はフォン・ホト上級大将。

D軍集団は本国に配備され訓練と再編補充と予備戦力として運用される。

司令官はフォン・ルーデンドルフ大将。

そのどれにも入らないのが我らが即応軍司令部。中央に位置しABCDのどの軍集団よりも速く展開され、攻勢時は機動打撃部隊として運用される。

現在A軍集団指揮下にある第一独立遊撃大隊とローメル中将閣下指揮下の南方大陸派遣軍団の部隊などが存在する。

海軍は大西洋・北洋両艦隊の上位統率機関として大洋艦隊を創設。

地中海・ヒンディア洋両艦隊は太平洋艦隊を組織し同盟国秋津洲皇国と協働する。


「少佐殿!空挺部隊が既に投下に成功。橋頭堡を築きました。我々には上陸前に火力を提供空挺第1師団の支援を。」


この戦略配置。ライミーも馬鹿ではない。


「いや、右翼から叩く。」


「は?いえ、了解しました!」


明らかに左翼が厚い。が、全体的に見れば明らかに数が少なく薄い。更に我らの上陸予定地に近いのは右翼。素人でもわかる、罠がある。


『ノルマルディーコントロールよりバビロン01。降下猟兵への支援はどうする。』


「全軍への支援を行えば結果的にはそちらへの圧力は減る。それで対応してもらうしかない。更に全体で見れば連合王国軍が少な過ぎるのだ。そして1番薄い敵右翼近辺が上陸予定地。もう、分かるだろう。」


「少佐殿。準備完了です。」


副官は事務官としては優秀だったが、戦術や戦略面では無能に等しい。完璧な人間はいないな。


「バビロン大隊!全力出撃!」


大洋艦隊旗艦グラーフ・ツェッペリン級航空母艦一番艦グラーフ・ツェッペリンの飛行甲板から俺の指揮する魔導猟兵一個大隊を先頭に第205強襲中隊、第47大隊などが続く。


『こちら、ノイツ01、感度良好』


『こちら、ノルトランデ01同じく感度良好。絶好のライミー狩り日和である。』


「正しく。どうだ各隊でスコア勝負と行こう。勝利した隊に負けた2つの隊の士官が酒を奢るぞ。」


『負けられませんな!大隊前進!』


『こちらもだ。中隊、狩るぞ!』


「大隊戦友諸君!いつもの如く帝国と陛下に尽くせ!帝国よ永遠なれ!勝利を!」


『『『帝国万歳!勝利万歳!帝国よ永遠なれ!』』』


空軍は高高度で制空権奪取の為、守り抜く為争う。地には数多の鉄くずが落ち、死した魔導師の屍が晒される。戦艦群の艦砲射撃の跡が残り、ロンディウムが連合王国の誇りは悲惨な様相を呈する。


「be engage!ライミー共の魔導師を叩き潰せ!」


連合王国の魔導連隊と戦闘に入る。

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