後輩(新作)

 最近のコンビニは毎日のように新作のスイーツを出す。それはちょっと高級感があるようで、その実たいしたものでもない。しかし我が後輩はそうは思わないようで、新作が出るたび奢れとせびってくる。

 たかだか数百円だ。かわいい後輩にたまに買ってやるくらいはいいだろう。

 しかし後輩が分裂したことで話が変わる。増殖した彼女たちは、皆が皆、新作スイーツに目がない。おかげで出費が倍になった。

 出費は二倍に留まらない。彼女は三人になり、四人になり、出費も比例して増えていく。幸いなのは、分裂した彼女たちの嗜好が違うことか。俺は新作が出るたびに、それぞれが好きなものを与えていく。

 何人目かの後輩は、好きなものが俺だと言った。特に断る理由も思いつかず、俺はその告白を受け入れる。しかし一緒にいると、どうにも違う気がしてしまう。

 分裂した自分が俺と交際中にも関わらず、新作スイーツを要求する後輩たち。いつも通りの餌付け中、俺は後輩が美味しく食べる姿が好きなのだと気づく。その日の内に、告白してくれた後輩へと、俺は別れを切り出した。

 翌日、後輩は一人に戻っていた。買った菓子が無駄にならずに済んでよかった。

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