第25話 また次も

「金貨120枚?!」

モナモナとクラリッサの声がピタリと合った。


「そうなんだ。

依頼が色んな所から出てたんだって。凄いよなぁ」


卓についた4人。


フェルナンドは、30枚ずつの金貨袋を、クラリッサ、モナモナ、ジェスター、それぞれに手渡す。


「皆、ありがとう。

本当に、今回は…大変な思いをさせたなぁ」


「ううん、僕の方こそ…」

クラリッサが、うつむいた。

「氷柱の魔法、うまく刺さらなくて、失敗しちゃって…

次はもっと強い魔法を撃てるように、たくさん練習するね」


「そんなん、ボクもだよ」

モナモナが金貨袋をもてあそぶ。

「矢を当てたって、全然歯が立たなかった…。

いい加減、他の技を考えなくちゃな」


「…俺も」

ジェスターも、口を開いた。

「ダメージソースには、全くならなかった。軽業師とはいえ…情けない。

もっと技を磨きたい」


「私は…とりあえず…

剣と防具一式、買い直さないと…」

頭を抱えるフェルナンド。

「あ、ジェスター。

服、洗って返すから…本当助かったよ、ありがとう」


ギルド内の防具屋から提供を受け、フェルナンドはようやくまともな服を着て、見れる感じになっていた。



「よし…そしたら」


フェルナンドは、座る姿勢を正した。


「とりあえず、今回は仕事も報酬も大きかったし…

一週間くらい、休憩にしようか。

お金入ったし、ちょっとゆっくりしようよ…」


「うん…いいかも!」

「ボクもさんせーい」

クラリッサとモナモナが、笑顔を交わす。


ジェスターも、目を優しく細めて、頷いた。


「うん。じゃ、いいかな。

また次も、よろしくお願いします」


フェルナンドがはにかんで、会釈する。


すかさず、フェルナンドの真ん中分けの額を、モナモナがデコピンした。


「痛った!

え?!モナモナ!今の何?!」

「今更『よろしくお願いします』なんて他人行儀なこと言う奴にはお仕置きだっつーの!

なークラリッサ!」

「えへへっ、そうだね!

お仕置き、何の魔法にする?あっ、あの氷の奴にしよっかー!」

「ヒィッ!嘘でしょ?!!

あっえっ、待っ、やめてっ!うわーーー!!」


モナモナに追い立てられ、クラリッサの氷魔法で尻をつつかれて、ギルドのエントランスを走り回るフェルナンド。


ジェスターはそれを微笑ましく眺め─────

いや、やっぱりちょっとこれは情けないリーダーだな…。

彼は思い直し、ゆるむ頬をマスクで隠した。

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