第43話 取り戻した日常。

 姫川家 別邸。


 大広間。


「おはよう」


 学校の制服に身を包んだ俺は、姫川さんたちに元気よく挨拶する。


「やっと起きたのね、露璃村くん。

 もうルーシィスさんの歓迎パーティーを始めちゃってるわよ。

 早く席に着きなさい」


 豪勢な料理が並んだ食卓の上で頬杖を突きながら姫川さんはなぜか? 好戦的な笑みを浮かべて言ってくるものだから、俺は素早く席に着いた。


「すまん。寝坊した」


 答えながらチラッと視線をの席へと向ける。


 彼女は黒を基調としたタイトなメイド服を着ていた。


「もうダイくんは、寝坊助なんだから」


「ダイくん……もしかして、俺のことかな。

 ルーシィス……さん?」


「ええ、そうよ。

 もしかして、馴れ馴れしかったかしら。 

 気分を害したのならごめんなさい」


「別にそんなことはないよ。

 俺のことは好きに呼んでもらってかまないよ」


「じゃあ、ダイくんって、呼ばせてもらうね」


「ずいぶんと親しそうですね」


 物凄い形相で姫川さんが睨んできた。


「露、璃、村、くん」


 ドスのきいた恐ろしい声に俺の心臓はギュッと縮み上がる。


「ひぃ、ヤメテ…………」


 姫川さんは席を立ち、ぐいっと俺の胸ぐらをつかんできた。


 圧倒的な力に俺は、なすすべもなく引き寄せられる。


「ぎゃぁあああ」


「まあ、自業自得ですね。王子さま」


「ご愁傷様です、主さま」


「ダイスケくんの女好きにも困ったモノね」


「旦那さまはとても優しい方ですから、困っている女性がいたら放っておくことができないんですよ」


「セレーネお姉ちゃんは甘いな」 


 さらに食器のかたづけに、朝食抜けという罰までくわえられた。


 実に不条理だ。


 

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ツインズ・ガールズ・ラブストーリー 天界 聖夜 @inori0314

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