第1話:はじまりの始まり

ー琵琶湖近くー

「…ウエッ…酔った…」

「ハハハ…俺も少し酔った…」

琵琶湖の近くの公園で俺たちは兄弟揃って車酔いしていた。

「あれー?なんかあのおにーさんヨロヨロだよ?」

「こら、人のことをジロジロ見ないの‼︎」

そう言う親子の声を聞いて俺は、もともとこう言うのには強くないんだ。仕方ないだろ…そう思いながら顔を上げた。

公園の木々の向こうに彦根城が見える。

「すっげーよな、彦根城」

俺はそう言って彦根城を遠目で見た。

対して澄兄ぃは彦根城とは反対の山の方を見ていた。

「あの城はまだ新しい方だ。確か姫路城や明石城より新しいぞ」

そう言い、あの山を見てみろ。と言い山を指した。

「あの城の一部は多分、あの佐和山にあった城から取っている。それに山頂は数mから数十m削られている」

そう言い澄兄ぃは近くのベンチに座った。

やっぱ、こうなる。澄兄ぃは何かしら敗者とかに感情移入するから嫌になる。判官贔屓っつー奴で、どこが良いんだよってよく思う。

そう思っていると、どこからかニィニィと猫の鳴き声がした。

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