一谷颯輝、行きま〜す‼︎

第1話:はじまりの始まり

「…で、関ヶ原の戦いは小早川秀秋の裏切りを皮切りに東軍有利になって、徳川家康の勝利に終わったんだ。

総大将である毛利輝元は減封と本人の隠居。

本戦で軍を指揮していた石田三成は京都の六条河原で首を切られたんだ。その時がな…‼︎」


ー石田三成は嫌いだ。

教科書を立てて机に突っ伏し、熱弁している先生の話を聞き流してそう考えた。

石田三成は強い家康に無駄な抵抗をして負けた。そして家臣を見殺しにして逃げたのに、最後は『生きたい』とかぬかした。馬鹿馬鹿しいにもほどがある。つーか誰だよ。

俺は一谷颯輝|≪いちたにさつき≫。彦根の中学に通う数え年15歳の男だ。

もう一度言う。男だ。

俺は生まれっつき童顔で女子っぽい顔だった。だからよく女の子だって間違われて、初めてのお使いでもなんか可愛いもんを持って帰っていたって母さんが言っていた。

それに公衆トイレだっていっつも入った途端に女の子と間違えられて、みんなギョッとしている。

それに背もちっさい。

この前の身体測定で俺は153㎝になっていて、その時は嬉しかったけど隣の席の奴は…

163㎝‼︎、168㎝‼︎、178㎝‼︎

…巨人かよ‼︎

思わずそう思った。

つくづく自分が嫌いになってしまう。

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