私の世界の中心は

第1話

あなたの世界に私はいつも入れない。私を、私の中身まで見ようなんてしてくれなくていいから、だから姿を映してくれないかな。あなたのために精一杯お洒落した私を。

私じゃだめだった。彼に見合う女の子は私ではなかったのだ。精一杯変わった。時間がない朝でもコテは欠かさなかった。化粧とは言えなくてもアイプチは毎日したのに。失恋。2文字の言葉で言い表せないほど残酷で逃げたくなるようなこの想いに蓋をしたい。忘れようと、気を紛らわせようとするほど思い出して嫌気がさすのはなんて皮肉なんだろう。

思いだけでなく体までジメジメとする。薬局のポイントでかえた温度計、正確にいうと時計と温度計が一緒になった画期的な品を見ると湿度は80パーセントを超えていた。6月中旬。季節からは逃げることなんてできないからより一層憂鬱になる。からっと晴れた日だったら私の気持ちは少しは楽になるのだろうか。