第3話 大量スキルポイント!?

 

「あ、そういや」


 歩き始めて、ふと思う。

 ずいぶんと戦い通しだったから、スキルポイント増えてるかな。


「完全に忘れてたわ」


 3ポイントくらいもらえているかも。

 いや、そううまくは増えないか。


 この世界ではスキルポイントを使って、スキルツリーを伸ばし、自身を成長させるシステムになっている。


 少々脱線するが、ここでスキルツリー構造について説明しておこうかな。

 まず実際に俺の「生命力」のツリー部分にある「属性耐性」を見てみよう。




「生命力」

  【体力】55 (MAX100)

  【自然回復力】3 (MAX10)

  【属性耐性】

     【火耐性】3 (MAX10)

     【風耐性】3 (MAX10)

     【土耐性】2 (MAX10)

     【水耐性】2 (MAX10)

     【雷耐性】1 (MAX10)

「魔力」

「筋力」

「敏捷性」

「精神力」

「身体感覚」



 こんな感じで、各職業ごとに独特なスキルツリー構造がある。


 手に入れるスキルのほとんどは「パッシブスキル」と呼ばれる、筋力が一上がったりHP(生命力)が一〇増えたりという恒常作用をもつものだ。

 そうやってスキルツリーを成長させ、ツリー内で一定の条件を満たすことで職業に応じた〈魔法〉を覚えたり、【武技】と呼ばれる強力な攻撃を習得する。


 例えば魔力が一五を超えると〈回復魔法ヒール〉を手に入れる、筋力量一〇以上と敏捷三以上を満たすと【斬撃】を手に入れる、などがそうだ。


 イメージ通りだと思うが、魔法や武技は使用することで発動するタイプのものが多く「アクティブスキル」と呼ばれる。


 そんな誰もが欲しがるスキルポイントだが、1ポイントを貯める目安は自分と同レベル帯の魔物を一〇〇〇体討伐することだ。


 より強い魔物を倒せば相応に早く貯めることができるが、代償にするのは命。

 勇者や聖女のように最初からスキルポイントを多く手にしている者ならまだしも、そうでない者は相応の努力が要求される。


 なお、一般の冒険者のスキルツリー覚醒率は二〇%以下と言われている。

 勇者パーティを構成した俺でも、半分も覚醒できていない。

 恐らく最高峰のアラービスやミエルでも、よくて六〇%がいいところだろう。


 と、何の気なしに自分のスキルポイント残高に目を向ける。


「……ってうぉあ!?」


 ぎょっとした。

 なんと、もともとゼロだったスキルポイントが――。


「さ……323……?」


 何度見ても、323だ。

 俺はあまりのことに、ぺたんと座り込んでしまった。


「……マジか」


 煉獄の巫女アシュタルテのレベルが高いだろうから、俺はてっきりポイントが入ってきていないものだと思っていた。


「これは間違いなく……」


 あの長い回廊の戦闘が、俺のソロ扱いになっている。

 俺が一人で強敵をボコボコ倒したような値だ。


「こりゃ大変だ……」


 後半なんて煉獄の巫女アシュタルテがほとんど戦ってくれたのに。



 ◇◇◇



「スゲー成長できちゃうかも」


 軽く震える指で操作し、スキルツリーを開いた。


 まずは先程の「生命力」ツリー部分。



「生命力」

  【体力】55 (MAX100)

  【自然回復力】3 (MAX10)

  【属性耐性】

     【火耐性】3 (MAX10)

     【風耐性】3 (MAX10)

     【土耐性】2 (MAX10)

     【水耐性】2 (MAX10)

     【雷耐性】1 (MAX10)



 体力はHPそのもので自然回復力も言葉通りの意味だ。


 なお、【自然回復力】は最大にしても1分間に5%ほどしか回復しない程度のものなので、上げても一瞬で回復するとかはないからな。


 これを全てMAXになるようにポイントをつぎ込んでも、スキルポイントは45+7+7+7+8+8+9で、91しか使わない。

 属性耐性を含めた「生命力」は自身を死から遠ざける重要なステータスである。


 つぎ込む対象としては悪くない。


 次に「魔力」。



「魔力」

  【魔力量】22 (MAX100)

  【魔法疲労回復】4 (MAX10)

  【元素適性】

      【火】0 (MAX10)

      【風】0 (MAX10)

      【土】0 (MAX10)

      【水】0 (MAX10)

      【雷】0 (MAX10)



【魔力量】は自分の魔法攻撃や回復魔法の威力を、【魔法疲労回復】とは、その自然回復する速さを意味する。


【魔法疲労回復】も同じで、最大にしても1分間に5%ほどしか回復しない。


【元素適性】は属性攻撃が可能になるというものだ。たいていの冒険者のスキルツリーに存在し、攻撃特化型以外は優先度は低いと評価されている。【元素適性】なしで、78+6で84スキルポイント。


 次に「筋力」。



「筋力」

  【筋力量】33(MAX100)

  【武技】0 (MAX10)

  【武装付加値】

     【剣一般】8 (MAX10)

     【大剣】0 (MAX10)

     【小剣】1 (MAX10)

     【槍】0 (MAX10)

     【斧】0 (MAX10)

     【弓】1 (MAX10)

     【メイス】2 (MAX10)

     【投擲】1 (MAX10)

     【盾】2 (MAX10)



【筋力量】は物理攻撃力を意味し、【武技】は物理攻撃スキルの攻撃力を意味する。

 僧戦士クルセイダーは物理攻撃スキルを覚えないため、【武技】は後回しにしよう。


【武装付加値】はそれぞれの武器の扱いを補助してくれる。

 これに関しては、ポイントを振っただけでいきなり武器の扱いが巧みになるとか、そういうものではない。


 あくまで付加であり、細やかな技術は努力をしなければ身につかない。

 このあたりをいくら説明しても、アラービスは理解していなかったな。


 俺は剣にこだわりたいので、武装付加値では【剣一般】だけはMAXにしたい。

 可能なら【投擲】も欲しいが、それは贅沢というものか。

 ポイントに余裕があったら、あとで考えよう。


 このツリーで望む通りにMAXにするとしたら、69スキルポイント必要だ。


 次は「敏捷性」。



「敏捷性」

   【回避力】

      【跳躍力】3 (MAX10)

      【瞬発力】3 (MAX10)

      【柔軟性】2 (MAX10)

      【身体操作】3 (MAX10)



 回避は俺的に重要なステータスである。

 ここは命を守る生命線。


 けちらず全てMAXにすべきだ。

 ここで29スキルポイント。


 次に「精神力」。



「精神力」

   【信仰】 

     【異端の神々ジ・ヘレティックス】5 (MAX10)

           【悪魔調教】

             【石板使役】3 (MAX3)

   【魅力】3 (MAX10)

   【全般魔法抵抗】3 (MAX10)


 ここでは神への【信仰】5をMAXにしたい。

 信仰を上げることで、回復魔法ヒールや魔法攻撃、果ては悪魔捕縛の成功率に至る神聖行為すべてにプラス補正がつく。


【石板使役】のポイント数は、同時に使役できる悪魔の数を意味している。

 まぁ煉獄の巫女アシュタルテが恐ろしく強いので一体で十分なのだが。


【魅力】は交渉や取引、悪魔使役においても重要なステータスらしい。

 上げたいが、ほかの様子を見よう。


【全般魔法抵抗】はスタンを除いた眠りや毒、混乱など状態異常系魔法への抵抗も含む。

 これもMAXにしたいので、ここの加算は12スキルポイントになる。


 最後に「身体感覚」。



「身体感覚」

    【視覚】3 (MAX10)

    【触覚】2 (MAX10)

    【味覚】2 (MAX10)

    【嗅覚】2 (MAX10)

    【聴覚】3 (MAX10)

    【知性】

      【総合知性】51 (MAX100)

      【言語知性】

      【言語理解】4 (MAX10)

         【言語出力】4 (MAX10)

         【記憶力】5 (MAX10)


 視覚、聴覚、嗅覚を上げておけば、敵を索敵しやすくなる。

 索敵は先手後手に関係するので重要だ。


 MAXまで行かなくとも、この3つは上げておきたい。


【知性】や【記憶力】の分野は後回しにしようかな。


 いや、待て。

【総合知性】は上げておこうかな。


 案外重要なステータスなのかも。

 これが高ければ、将来的に重大な危機を回避したりするのかも。


 知識がなければ始まらないことも案外多いしな。


「投資だ」


 少し入れておこう。

 そのため、ここでの最低加算ポイントは42ポイントになる。


 必要ポイントの合算は生命力で91、魔力で84(【元素適性】抜き)、筋力で69、敏捷性で29、精神力で12、身体感覚で42。


 足して327。

 俺が持っているポイントは323なので少々この理想的な要望には足りない。


「まあいいか。今すぐすべて使い切る必要もないだろうし」


 MAX100の【体力】、【筋力量】、【魔力量】を90で止めることにした。

 さらに【視覚】、【聴覚】、【嗅覚】を9で止めて、余った3ポイントを【魅力】に振り分ける。

 あとの項目はすべて理想通りにポイントを振った。


 これで26ポイント残だが、これは今後のために手をつけないでおこう。

 それでも十分に俺は強くなる。


【元素適性】をひとつだけMAXにするという手もあるが、後の必要な場面で選ぶくらいでも問題ないだろう。

 というわけで、俺のスキル配分はこうなった。

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