この作品を埋もれさせておくのはカクヨムの罪

一幕、中盤まで読んでの感想です。(本当は読み終えてからレビューしたかったんですが、ちょっと最近読む暇がないので先にレビューさせて頂きます)


 まずこの作者はプロ、またはセミプロとしか思えないくらいに構成力が凄い。物語創作について何かしらの勉強をしたか、似た経験があるとして、それでも、とても素人が書いたとは思えない。
 文章も非常に巧く、語彙力の高さも伺える。それ故とっつきにくい部分もあるが、とにかく騙されたと思って十三話までは是非読んで欲しい。

 作者についての称賛はまだまだあるがこの辺にして、本題の筋書き。
 作者がどれだけ頭を捻らせ悩ませたかを思わせる、知的で、濃厚で、静謐で、熱いストーリー。主人公に感情移入してしまったら最後、狂っていく描写を存分に味わい、癖になる甘美な絶望を共に味わってください。
 仲間の不可解な失踪が途絶えぬ中、叫び出したくなるほどの展開が待っています。私のようにペーターに心を奪われていた場合、日常生活に支障が出ます。愚者になった途端、愛おしさも倍増です。危なっかしく、手に余るペーターがとにかく可愛い。

 似たような作品が溢れかえるこの世界(WEB小説)では、唯一無二のオリジナリティを誇っていると思います。
 この作品はWEB小説主流のライトノベルではなく、その為か、何にでも言える事かもしれませんが「本物の作品」ほど世に出ない、(現状では)多くの人に見られない=決して駄作ではない、それを表す作品です。
 もし何かのきっかけでこの作品が日の目を浴びた瞬間、称賛の嵐が吹き荒れる事は間違いないでしょう。カクヨムはこの作品を一刻も早く宣伝すべきだと思います。

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