第6話 夏夜空の飛行機雲

「でも、私が歌が上手いなんて信じられないな…。声だって気持ち悪いし…。」

「そんなことはないだろ。」

「そもそも、合唱の時、皆で歌ってる中で聞こえた声でしょ?それ、私じゃないんじゃない?」

「いや、お前だよ。」

「それに、桜木くん。特に音楽に詳しいわけでもないんでしょ?」

「一応ピアノは弾けて、絶対音感はあるけど。」














「えっ?!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」









桜木遥人…。益々ワケわからん…。

ピアノ弾けて、絶対音感?!



「なんで?!」

「なんでって…。フツーに家がピアノ教室だから、自然とそうなった。」

「そうなの?!もう、意外な発見しかないんだけど…。夏の夜空に飛行機雲があるみたいな衝撃!」

「何それ?例えがすごいな。」

「昨日見かけたの!あー、夏の夜空って真っ暗じゃなくて、薄い青…群青色って言うのかな?まあ、その色だから、飛行機雲が見えるんだ!いがーい!ってすごく衝撃で…。だから、桜木くんがピアノまで弾けて、しかも絶対音感あるってのは、それと同じぐらい衝撃だった!」

「お前、俺をどういうイメージで見てたんだ?」

そう言って、桜木遥人は少し笑った。

「いや…。まあ、フツーの優等生かと思ってたってことよ!」

「フツーなのに優等生なの(笑)?」

「あっ…。」

そして、私たちは少しの間、声をあげて笑った。

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