こんな転生望んでません!!

ミントライス

第1話 え、俺死んだの?


「……あれ?ここどこだ?」


ずっと意識を失っていたらしい俺。


目を開けたら何もないただ白いだけの空間に1人寝転がっていた。


何なんだここは、と訝しみながら俺は体を起こすと状況を整理することにした。


ここに来る前、俺は何をしていたっけ…


ダメだ、何も思い出せない。


未だにボーッとしている頭を軽く叩きながら思い出そうとするが思い出せない。


名前、生年月日、出身、スリーサイズ…


どうやら俺の脳は使い物にならないくらい記憶力がないらしい。


「おや、目が覚めたようですね。」


え、誰の声だ?


ぱっと見、俺しかいないはずの空間なのに誰かの声が聞こえる。


もしかしたら何か知っているかもしれない、という希望を抱いてどこからか聞こえてきた声に話しかける。


「あのー、貴方は誰ですか?」

「私ですか?」


お前以外誰がいるんだよ。


口には出していないが、多分表情には出ているはず。


「そんな不機嫌そうな顔しないでくださいよ〜。私は『エリュシオン』。簡単に説明すれば、神様です。」


……この人は何を言っているのか。


頭がおかしいかもしれない人か、はたまた本気で頭がおかしい人なのか。


「あ、信じてませんね?」

「はっきり言えば。」

「まぁ大抵の人は信じてくれないので別にいいんですけど。」


そんなんでいいのか、神様とやら。


「では、本題に入りましょうか」

「え、あ、はい」


さっきまで投げやりな感じだったくせして、急に真剣みを帯びた声色になる神様とやら。


「貴方は死にました。」


…………はい?死んだってどういう事?


まったく理解が追いつかないんだが。


「つまりさっきまで俺生きてたわけ?」

「そういう事です。貴方は1時間前に交通事故で亡くなられました。」


信じ難いが、何で俺がこんな現実的にはあり得ない空間にいるのか、ということも説明がつく。


てことは、やっぱり俺は神様の言う通り死んだのか…。


「ですが、実は手違いなんですよね」

「はい?」


手違いぃ???


本当は俺死ぬ運命じゃなかったってこと?そんなまさか……


「本当は、貴方死ぬ運命ではなかったんです」


そのまさかだった。


何をしてくれているんだこの神は。

記憶には無いけど俺の大事な人生を返せ。


「お詫びと言ってはアレなんですが、転生して第2の人生を歩むことができます。」


転生…生まれ変われるのか。


それも悪く無いかもしれないけど、転生した先で俺上手くやっていけるのか?


「どうします?転生しますか?」

「……します。俺、転生します。」


俺が神に向かってそう答えると、俺は糸が切れたかのように意識を失った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

こんな転生望んでません!! ミントライス @mintomoti

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ