第2話告白とメアドと生徒会

無機質なベルが眠気と気だるさを帯びた授業という名の軟禁に終わりを告げる、学生の一日の大方が終わり、皆が皆帰り支度だの談話だのを行う。

「はぁ、つまんないな」

おっと心の本音が漏れでてしまった。特にやる事も無いので必要な教材だけ入れて、カバンのチャックを閉める

「どうしたんだ?そんな怠そうにして、まさかまだフラれた事引きずってんのか?」

「まだってお前、昨日の事だぞ?そんな簡単に立ち直れるもんか」

どんな強靭な精神力もったんだよ。逆に尊敬するわ。

「いきなりなんだが、真って今部活フリーじゃん?バスケ部の練習だけでも手伝ってくれよ、お前昔やってたんだろ?」

失恋した友を部活と言う戦争に送り出す輩がいたとは、聞いていて呆れすぎて逆に清々しいな。

こいつはバスケ部に所属している佐々木健といい、見た目から発言までがチャラい。果てしなくチャラい。しかし、フレンドリーな分優しい所もあるので 中々頼れる奴だ。今はそんなにだけど

「というか健、バスケ部って沢山部員入ってなかったっか?特に男子どもが」

「それがな、ほとんどが二羽先輩目当てで仮入部したらしくてな。顧問が厳しい人なもんで本入部を迎える前に8割がたがやめたんだよ、今じゃ男子はたったの9人だぜ?チームに分けて試合することさえ出来ないんだよ」

お、おう……。

やはり周りにはライバルが沢山いるのか、これは血どろみの争いになりそうだな。今からでも暗殺術を習うべきか?

「すまんがパスだ、俺は忙しいからさ」

「お前、帰宅部が何言ってんだよ」

あっ、今帰宅部を侮辱しましたね?あーあこれはもう踏んでははいけない地雷踏みましたわ!

「おーい、健部活いくぞ!」

教室の外から同じ部活であろう生徒から声がかかる。

「わりぃ、じゃあ入部に関して考えといてくれ、じゃあな」

と言って、健は駆け足で彼らの所に向かっていった、これが青春なのか…。

「と、言っても俺もこれからリア充になる為の勉強をしなければな」

ポケットからスマホを出し、連絡先を確認する、新着の所に二羽甲葉と書かれている。

フラれたんじゃないの?という疑問を持った奴、俺には神からの救いの手があったんだよ!


それは昨日の事である



「ごめんね、君の気持ちも嬉しいんだけど応えられないかな…」

やっぱりか…

大体予想はしていた。だが、実際そうなるとショックで泣きそうになる。泣いてない、これは心の汗だから。

「そうですよね、すみません時間を取ってしまい、それじゃあしつれいしますね」

俺は下を向きながら走り出した。止まる事も無く…

「あっ、ちょっと待って!」

「えっ?」

勢いよく走りだし、急に止まろうとしたため、体制を崩し転けてしまう。膝がヒリヒリするぅ…

「ごめんね、急に止めちゃって、良かったら連絡先を交換しないかな?」

「ほへぇ?」

ヤバイめっちゃみっともない声が出ちまった。何してんだ俺!

「い、いいんですか!」

すると彼女はスマホを取り出し、少し操作すると画面をこちらに向けてきた、画面には甲葉と書かれており、読み込み用のQRコードが表示されていた。

これは奇跡的なのか?もしかして夢なんじゃないか?

試しに頬を精一杯引っ張ってみる、

「痛たたたたたた!」

「だ、大丈夫!?」

痛い、しかし今の俺には喜びでしか無かった。バグか何かでゲームのデータが全部消えたけど、再起動したら元どおりだった気分だ。兎に角嬉しいな越した事は無い。俺は緊張で震える手を駆使して、連絡先を無事交換し終えた。母さん見てるか、あんたの息子はやってやったぞ。

そんなこんなで、告白は失敗してしまったが、連絡先という思わぬ戦利品が手に入った。

何も最初から付き合うのはお互い気が引けるものだ。まずはお互いをよく知った上で徐々に距離を詰めていき、最後にゴールインだ。うん、俺の人生は薔薇色だな!

連絡先なんて高校生にもなればバンバン交換するものなのだが、好きな人となると話は別だ。そうでもない?俺は童貞なんだよ。未成熟のチェリーボーイ、OK?

いつもより少しテンション多めで帰ろうとロッカーに向かうと、あからさまに俺のロッカーで待ち伏せをしている人がいた。

これが二羽先輩なら青春の1ページに飾るのだが、そうじゃないなら、完全スルーだ。少し待てばどこかにいくだろう。


30分後…


くっ、なかなかしぶといな…

俺はもう少し待とうとしたが、これでは帰宅部に入った意味がない、もともとそんな部活は存在しないのだが


「あの、なんか自分に用です…か?」

聞いていながら驚いた、そこに立っていたのは女の子だった。深い緑のショートヘアと、凛とした目、もう夏にもなるのにブレザーとリボンまできっちりとつけたザ優等生だった。

「あぁ、やっと来ましたか、金崎真さん。私は生徒会の書記を務めています、安藤若葉と言う者です。すみませんがこの後少し時間をもらってよろしいでしょうか?」

「全然よろしく無いです」

「そうですか、では生徒会室まで同行願います」

「あれ?これ俺の意見適用されないやつですかね?」

全然よろしく無い言ったじゃん、ちゃんと断ったじゃん。

「あの、俺生徒会に呼び出されるような事してないと思うのですが…」

「そこを判断するのは我々です。いいから付いて来て下さい」

面倒ごとは嫌いなので、逃走するために逃げ腰の状態になる。

「ふむ、私もあまり手荒な事はしたく無かったのですが、仕方ないですね」

彼女は手でパチンと音を鳴らした。

するとどこからかドドドと音が聞こえてくる。その音は次第に大きくなり、

「ちょっとアメフト部を使うのはずるいですよ!こんな横暴が許されるわけが無い」

「問題ありません。先生の許可は得ています」

クソ、尻に敷かれてんじゃねーよ!

俺は少しの抵抗を見せたが、実力は雲泥の差、俺はアメフト部に拘束され、生徒会室に連行された。

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