ゼフィ・シルフィア

桜咲こゆり

プロローグ*静かになった店

「私が返ってくるまで、まっててね」

そう置手紙をして自分の前から消えていった

長くいた高い椅子がとても物静かでとても違和感を感じる

人がいなくてもなにかしらの声があった

でも今は静かにお湯が沸騰している音と砂時計の音が聞こえてるだけ

カラカラン

ドアが開く音がした

「おはよおございます、ゼフィさん」

隣の店でパン屋を営んでいるミナさんがやってきた

「おはようございます、ミナさん。いつもパンを持ってきてくださりありがとうございます」

「いやいや、お得意様だし、昔からの馴染みなんだからこれくらいはいいよ。...まだなんだね。」

「えぇ...今日あたりで二年くらいたちますね、コーヒー淹れてるんですけどのみます?」

「ありがと、いつものでお願いしてくれる?」

「わかりました」

いつものといっても自分も毎日朝飲んでいるオリジナルブレンドのコーヒーである

そこに砂糖小1、ミルク少々を混ぜる

「はいどうぞ」

「ありがとう、ふぅ…また腕上がったね、泡に無駄を感じなくなった。でも、もうそんなに立つのね...」

「腕を上げないと笑われますよ、まったく変わってないって...でも長かったようで短いですね」

そういって自分用のコーヒーを飲みつつまた静かな空間にもどる

作業台には自分用のカップ、お客様ようのカップと小料理やサンドイッチなどをのせる皿、そして二年ほどの間使われることのなく毎日きれいに磨かれている少し小さなカップが置かれている

「いつ帰ってきてもいいからな」

ぽつりと少し小さなカップの中に言葉を落とした

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